第2話「ゴムはうちにあるから」

最初、宮沢君が何を言ったのか、よく聞こえなかった。オギが何を言い返したのもよく分からなかった。


そのうち二人のフインキから、だんだん私にも状況がつかめてきた。私たちの下ネタを宮沢君は分かっていたみたいだった。でも、普段はもっとロコツな男子の下ネタもスルーしている彼が、なんで私たちの話が分かったのだろう?


「そんな強がらなくていーから」


「いや、そういうんじゃないから」


「無理して分かるフリしなくていーから」


「お前らこそ、そういう経験ないだろ?」


そういう経験? 一体、何の経験だろう?


その後も二人は言い合いをしていたけど、いつもの様に私は話に置いていかれていた。宮沢君は早口で話についていくのが大変。頭の回転の速いオギはそれについていけるのだけど、しょうじき私はそれがうらやましかった。


後でオギにも確認したのだけど、宮沢君は中一の時に彼女がいて、Hの経験もあるらしい。でも、普段は全然そういう話が分からないのは、なんでだろう? しかも、今日の放課後にオギの家に行って、それを証明するとか。「証明」とか宮沢君が得意な数学の話みたいだけど、どういうことだろう? そして、よく分からないけど、私も一緒にオギの家に行くことになっていた。


放課後。今日はサッカー部の練習はなかったみたいだった。私とオギは家庭科部に入っていたのだけど、サボるのはいつものことだった。最初はいつもみたいにバカ話をしていたのだけど、段々オギの様子がおかしいくなってきたのにサスガの私も気づいていた。


「だいじょうぶ?」


「Hできるとか言ってたけど、絶対嘘でしょ…」


やっと、宮沢君が何を証明しようというのか私にも分かってきた。え…これから宮沢君はオギとHするの? ひょっとして私も? ヤバくない? でも、どうしよう…


「ゴム買うからコンビニに寄ってくよ」


そう言って方向転換しようとした宮沢君に、オギは買わなくていいと伝えていた。








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