∇関係

Hanako

第1話「中二男子の性欲をなめるなよ」

始まりはちょっとした悪戯心だったと思う。


私たちの田舎の中学校では教室の席で班が決まり、その班単位で給食を食べたり掃除をしたりする。その時期は、グラウンドを挟んだ校舎とは逆側の植木の落ち葉集めが私たちの班の仕事だった。


私たちの班は、女子は私と親友の多栄(たえ)とノッポの杉田さん、男子は宮沢と中川と長谷だった。


宮沢はちょっと変わり者だった。勉強は天才、スポーツは部活のサッカー部で2年生にしてレギュラーという高スペ男子だったのだが、普段はダサい丸眼鏡をしていて、オタクで変な事を言っては自分で笑っていた。


ただ、ピュアなのか天然なのか分からないけど、中学生男子が大好きな下ネタが苦手だった。というか、全然分かっていない感じだった。普通だったらこんな高スペ男子は扱いにくいはずなのだけど、そういう天然な所もあってクラスではいじられキャラだったりもした。クラスのヤンキー達は、ちょっと捻った下ネタを言って、彼が意味が分からないという顔をするのを見て、「頭が良いのにこういうことは全然知らないんだよな」とか言って笑っていた。


だから、私たちもそれをやってみたかったんだと思う。私も多栄も年相応に、というかそれ以上にそういう話が大好きだった。私は男子と付き合ったことなんてなかったし、美人の多栄は1年の時に彼氏はいたけど何もしたことがないと言っていた。でも、レディコミ…というかばっちりエロ本を読んでいて、二人で色々妄想を垂れ流し合ったりしていた。


ある日、私たちは掃除の時間に真面目に掃除をしている宮沢の近くに行って、わざと大きな声でエロ話をしてやった。怪訝そうな顔をしてこっちに振り向いた彼に


「宮沢君には分からない話だから」


と言って二人で笑った。そうしたら、返ってきたのは意外な言葉だった。






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