72柱の悪魔たち

クズグッズ

第1話 朝

 「おやすみ。お父さん、お母さん。」

リビングにいた両親に挨拶したあと、トイレへ行って、長い廊下を渡って寝室に行く。いつも通りのルーティンだった。

「キャァァァァァァァァ!!!」

 ベットに潜りかけてるとき、悲鳴が聞こえた。

当時6歳の俺は一目散にリビングへと駆けつけた。何があったんだろうと少しの好奇心を持って。

 そこにいたのは両親ではなく1人の男だった。

そして、その手に持っていたのはかつて父親であった何かだった。床にも母親らしき人が血を流して倒れ込んでいる。

 男の張り詰めたような視線。今にも殺そうとしていた目だった。怒りより恐怖で足がすくんだ。

 親を見て自分もあぁなってしまうのかと思ったのだ。

男はすぐに出て行った。



「……っ!!………はぁはぁはぁはぁ」

(夢、か……。)

汗で服が張り付いている。気持ち悪い。

しかし10年前の悪夢を未だに見るとは。

時計を見ると今は7時6分。二度寝する暇はなさそうだ。

「……起きるか。」

そうつぶやいて、俺は言った。

「天使、朝食をお願い。」

すると、人型のロボットがでてきて、朝食を作り始めた。


―――天暦29年。

 世界はAIによって成り立っている。

そのAIの名は[天使]。生きる偉人ヴァール博士によって造られた、ロボットである。

 名前の通り天使をモチーフにしており、人型は人への思いやりや愛を持つことで、人がもっと優しさに触れるようにして、世界を平和にすることが目的だ。

他にも、町中の家電や交通、道具などを行っている思考型がいる。

 この天使達によって人類の生活はより豊かになっている。


天使が朝食を乗せた皿を机に置く。

『出来上がりました。』

トーストにサラダ。悪くない。

「おいしそうだね。ありがとう。」

『どういたしまして。』

そうした会話のあとに朝食を食べはじめる。

食べ終えると、皿は天使が洗ってくれる。

「それじゃあ行ってくるよ。」

『はい。行ってらっしゃい。』

そうして俺はまた学校へと向かった。

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