第7話

アステネリア王立学校への入学が、決まった後、そもそも今いる場所は何処なのか聞くのを忘れていた為、カソラスに聞いた。

「ここは、アステネリア王国の首都、アステネラから近い森の中だよ。学校もアステネラにあるし」とカソラスは言う。

「そうですか。」と返事は返したものの、みんなに、ちゃんとお別れ言えなかったなと、気分が沈む。それを察した、カソラスが「何?なんか、用事でもあったの?」と聞くと、俺は自分の生い立ちと孤児院での事を話した。

すると、「また、帰れる機会はくるさ。それに、局員になって帰った方が何倍もみんな喜ぶと思うよ。今まで、孤児院から、局員になった前例なんてないしさ。」と励ますように言ってくれる。

その言葉に、少しだけ、元気づけられて、もっと大きくなって、恩返ししようと、心に決める。

「まぁ、絶対になれるわけではないんだけどね」とカソラスは付け加え、俺は、慌てて「そうなんですか?」と聞き返す。

「当たり前じゃん、全員なれたら、努力しないでしょ。成績優秀者や、隊からの指名があれば、はれて魔法局員になれるよ。」

「成績優秀者は分かりますけど、隊からの使命って?後、そもそも、魔法局、騎士局のことあんまりわかってないんですけど……」と言うと、「え、そうなの、みんな一度は憧れて、調べるものなんじゃないの?」と本気でそう思っているようにカソラスは言う。

俺は、さっき、自分の生い立ち話したでしょ、と思いながらも、「環境的に無縁のものだと思っていたので……」と言うと、「あ、そうだったねー

 ー。」と軽く返事をする。この人は、人の話を聞いているのか?と思いながらも、「教えてください」と言う。「いいよー」と返事し、説明してくれる。カソラスの話を簡単にまとめると、こんな感じだった。



局員は、騎士局と魔法局に別れる。騎士局は、街に配属され、警備をしたり、王様の警護するなど、主にアステネリアを守る役割を担っているらしい。一方、魔法局は、世界各地に行き、今後、アステネリアに危害が及びそうな問題であったり、凶悪な魔物の討伐、指名手配犯の確保や調査など、外に出て働く攻めの役割をになっているらしい。まだ、セイリアンの街しか知らない自分は、いろんなとこに行ける可能性がある、魔法局員になりたいな、と漠然と思う。魔法局員は冒険者と似ているなと感じ、それを伝えると、冒険者ほど自由はないし、上からの指示は絶対だから、アステネリア王立学校で成績良かった人でも、局員を辞退し、冒険者になる人もいるらしい。また、カソラスが言っていた、局員になるルートとして挙げられていた、成績優秀者はわかるが、隊からの指名というのが分からず、そこも聞くと、一つに特化した人が、局員になれるためのルートで、その隊が欲している人材だったら、他のことはダメでも局員になれるらしい。特技を持った人間が埋もれてしまわないための措置らしい。しかし、疑問に思った。隊ってカソラスは1人じゃないか、そう聞くと、俺は、特別だからと、でも、隊の仲間は2人いるらしく、違うところで調査している最中らしい。行かなくていいのか聞くと、俺はこっちを任されたからと、また、あいつらなら、大丈夫と、その言葉はとても、力強く、固い絆、信頼関係があるんだなと思った。



こんな感じで、話を聞き、大事な事を聞くのを忘れていた。「入学はいつなんですか?」そうカソラスに聞くと、「1週間後」と欠伸をしながら言う。

「1週間後って、もうすぐじゃないですか、準備は何もいらないよ、テストないんだし。」 「いや、それでも、勉強しとかないと、授業について行かなかったりとか」というと「1週間じゃ変わらないよ、あー、それよりも、そいつとの合体、竜人化については知っていないとな。」 と頭を掻き眠そうにいう。

部屋を走り回っている、ルルに目を向ける。「どうやったら竜人化できるのか、性能等調べとかないとな。」と言う。

確かに、あの時は、何で合体、竜人化出来たのか分からない。正直あの時の記憶も曖昧だ。そんな事を、思っていると、「今日は寝ろ、今、夜だし、俺も眠いし。」「それに、お前も、動ける状態じゃないだろ。」と言う。

確かに、全身、痛いし、起きて検証は無理そうだ。実際起きれなかったし。了承の意を示すと、じゃあと、カソラスはドアを開けて、部屋を出て行く。それを見送ると、ルルがベッドにに入り込んできた。俺はルルに、「ルルのおかげで助かったよ、ありがとう。」と声をかけると、ルルは少し怒っているようだった。「何を怒っているの?」と聞くと、ガァウ、ガァウ、と言い始めた。どうやら、馬車から降りる時、ルルを手放した事を怒っているらしい。俺は「あの時は、そうするしかなかったんだよ、でも今は、ルルがいるし、今後も、竜人化できるならルルは手放さないよ。今度は一緒にやっつけよう。」というと、笑いながら、ガァウ!と返事をした。竜人化はできるよ、一緒に闘おう!そう言っているように感じた。一つになったからなのか、ルルの感情がなんとなく分かるようになった。情に負けて、一時保護のつもりだったが、いつのまにか、ルルとは、一生の付き合いになる。そんな予感がしていた。

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