第5話
2人を見下ろしながら、状況が読み込めていないでいると、ガイアが弓矢を放ってき、タングは大剣を振りゴブリンを瞬殺した技を放ってきた。自分に向かってくる攻撃に咄嗟に腕で顔を守る。そういや、縄も千切れているなと思いながらも、目を瞑りながら、痛みが走るのを待ったが一向に来なかった。ゆっくりと目を開けると、2人が驚いた表情をし、「無傷だと」と言う。すごい頑丈な身体になったなと自分でもびっくりし、今度はこっちから攻撃しようとするがどうしていいか分からない。とりあえず、距離を詰めようと全力で、2人に向かうとものすごいスピードで2人に近づき、そして崖に突っ込んでしまった。あまりの速さに、体が追いつかず、目的地を定められなかった。崖の先端が、大きな音をたて崩れ、滝壺に落ちて行く。ガイア、タングの2人は、揺れる足場に気を取られながらも、距離を取り、洞窟方面へと下がった。さてどうしたものか、レックスは考える。
タングは、目の前で、崖から少年が落ちて行くのを眺めた。罪のない少年だがこいつは、誰にも取られてはいけないと、抱えているキメラを見つめる。これで組織での立場も上がり、幹部への道が拓けるかもしれない。そう思っていると、少年が叫んだ。無駄な足掻きだと思っていると、抱えているキメラが光だした。ガイアもびっくりするように見ている。こいつに戦闘力がないことは昨日の捕獲時にわかっている。どういう事だと思っていると、キメラが光の塊になり少年の方へと飛んでいく。カラーンと昨日、キメラに居場所特定の為、翼の根本につけた、魔道具だけが地面に落ちる。状況を見守っていると、少年が、変化してい き、人の形をしたドラゴン。竜人になっていた。思わずガイアと一緒に呟いていた。姿は、恐ろしいが、見かけ倒しかもしれないと、攻撃するも傷ひとつつかない。その様に、絶望し、驚愕していると、竜人が一瞬で距離を詰めてきた。反応できず、やばいと思っていると、崖に突っ込んでいた。まだ、制御できていない、距離をとりながら考えていると、向こうも距離をとり、手を出してきた。そして、次の瞬間、熱気が迫ってき、一瞬で自分の身体を熱が包んだ。痛みはなかった。恐怖もなかった。それを感じる隙がなかった。これが物語に出ていた、ドラゴンの、竜のブレスかとむしろ感動した。後ろの洞窟や、近くの木々が焼かれる、崩れる音がする。どんな攻撃だよ、と思い、ガイアの方を見ると、塵となりいなかった。今までコンビを組んでくれてありがとう、そう思いながら自分も塵となった。
遠距離の方が安全でいいよなと思いながらも魔法など、使ったことがなくどうしようかな思案していると、なぜか自然と右腕を出し手の平を2人に向けていた。その時に初めて自分の体の一部を視認した。確かに化け物だった。腕は黒色に変色しており、そして鱗が生えていた。爪も、鋭利に伸びていた。そう、言うなれば、腕が竜になっていた。確かにこれは竜人だなと自分でも思っていると、差し出していた手のひらが熱くなっていた。そして次の瞬間、手のひらから、物語でしか見たことがなかったドラゴンのブレスのような、いや竜人のブレスが手から放たれた。ルルの怒りのような攻撃が2人に直撃し、当辺り一帯にも影響を及ぼした。止め方がわからず、数秒ほど出し続け、終わると、2人は塵となって消えており、洞窟は崩壊し、近くの木々もなくなり、焼け野原になっていた。衝撃的な光景を見て、そして、やってしまった‥ 誰かに見つかる前に逃げないとと思っていると、不意に脱力感に見舞われ、力がなくなっていくように感じた。浮遊できず、重力に従うように、滝壺に真っ逆さまに落ちていく。何も抵抗できず、身を任せるように、近づいてくる水面を見て、自分の全体像が分かった。それは、人型のルルだった。竜の顔に、胴体、尻尾は蛇で翼はコウモリ。ルルと合体でもしたのかと思っていると、バシャン!と滝壺に落ちた。意識が、遠くなる中、急いで水中から脱しようとするも、力が入らずそのまま沈んでいってしまう。結局死んじゃうのか、そう思い意識を失くした。
レックスとルルが落ちた、滝壺に1人の男が近づいてくる。「いやー、凄いもん見ちゃったねー」能天気にそんな事を言いながら、水面に向かって、手を伸ばすと、レックスとルルが水中から出てきた。宙に1人と1体を浮かせながら、自分の元へとよせ、地面に降す。それを眺めながら「キメラの保護と、銀狼団の捕獲を命じられて、こんな田舎まで来たけど来たかいあったな、みんな絶対驚くぞー」と言いながら、呪文を唱えると、魔法陣から鷲が出てきた。紙を鷲の足につけ「いってらしゃい」というと、鷲は地面から空へと飛んでいった。「報告も済んだし、こいつらどうするかなー」男はそう言いながら、少し考え1人と1体を連れ森の中へと消えていった。
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