いつまで生きていたいですか
目が覚める。
あたりを見回す。
目の前には、花。
隣では藍崎さんが伏せて寝ている。
首を横に倒して、気持ちよさそうに
口元に笑みを浮かべて眠っていた。
対して私は座ったまま背筋を伸ばし、
まるで電車の中で眠っていたよう。
蒼「…。」
私が起きるのは毎回
花瓶の置かれた席だった。
初めはなんて嫌がらせだ、と思った。
が、だからと言って移動させるなど
どうにかするわけでもない。
自分のプリントを持って
先に教壇に立ち、テストを仕上げる。
見直しをし、答え合わせをして、
藍崎さんが起きるのを待つ。
しかし、今日ばかりは
その行動ができなかった。
花瓶の花は茶色く乾き
ちりちりになるほど枯れ果てていたはずだ。
なのに、今目の前では
花がまた咲き誇っている。
見た目はこの教室の夢を見るようになった
当初のように瑞々しい。
色だって洗練されたように
茶色のひとつも見えない。
だが、香りがなかった。
もしかして精巧に作られた
造花なのだろうか。
手を伸ばしかけて、
しかし意味などないことに気づき
重力に倣って落とす。
蒼「…私。」
席を立つ。
そして教壇に立ち、
テストを前にしてペンを持たなかった。
持てなかった。
昨日の言葉が、事実が離れなかった。
蒼「既に亡くなっていたのね。」
思っている以上に
自分は冷たい声色をしているのかもしれない。
教室の中に暗い色が響いた気がした。
藍崎さんが話した
2015年に亡くなった園部蒼の話は
私には何の記憶もない。
しかし、その住民票…正確には
除票となった住民票を取り出したのが
一叶だと聞いて、無関係に思えなかった。
藍崎さんと別れた後、
すぐに話を聞きに行ったのだった。
°°°°°
蒼「一叶。」
一叶「何かな。」
蒼「聞きたいことがあるの。山ほどね。」
一叶「今日まで来てしまったんなら、全部話そう。」
一叶はいたって冷静だった。
おそらく私もそう見えた。
しかし、内心はあって欲しくない憶測塗れ。
蒼「さっき、藍崎さんに偽装戸籍の書類を見つけられて、無戸籍であることと一叶に作ってもらったことを話したわ。」
一叶「うん。」
蒼「そこで奇妙なことを言われたの。園部蒼は2015年に亡くなっているって。住民票もあったと聞いたわ。」
一叶「そうだね。」
蒼「この園部蒼は誰なの。」
一叶は「それは」と一間開けた。
そして取り乱すこともなく、淡々と語った。
一叶「君も、間違いなく園部蒼だ。」
蒼「…?」
一叶「正確には、2015年に亡くなった園部蒼が、もしもまだ生きていたら…という叶わないはずの願いから君はここにいる。」
蒼「……わかるように説明してちょうだい。」
一叶「君は…園部蒼は、2015年に亡くなった。これは事実で、変わり用もない。」
蒼「そうね。」
一叶「この亡くなった園部蒼は、君自身だ。」
蒼「…それがわからないのよ。ならどうして私は今ここにいるの。呼吸だってしているし、成長だってしているわ。」
一叶「順を追って話すから、どうか落ち着いて聞いてほしい。」
蒼「……えぇ、わかった。」
一叶「かつて生きていた園部蒼は、富豪のお嬢様だったんだ。園部家は群を抜いて大金持ちの部類でね。よく音楽を嗜んだり、舞台を見に行ったりしていた。」
蒼「……それは記憶があるわ。とてもうっすらだけれど、両親に舞台に連れて行ってもらったような。」
一叶「そうだね。今の蒼も覚えているはず。けれど、両親の顔はもちろん、多くのことは覚えていないよね。」
蒼「そんなことは」
一叶「中学生になる前のこと、思い出せる?」
蒼「え…?」
一叶「小学生の時に何して遊んだ?どんな友達と一緒にいた?登下校は?家の中は?」
蒼「……それは……。」
そこまで言われて、
当然存在していると思っていた
中学以前の過去の記憶が
思っている以上に
抜け落ちていることに気づく。
両親に、舞台に連れて行ってもらった。
感動した、はず。
それ以外の記憶がまるでない。
中学に入って早々の時、
どこの小学校から来たかと問われ
困って引っ越してきたと
誤魔化したような気もする。
思い出せないことは不思議だったけれど
いつからか受け入れてしまったらしい。
いつからか、忘れていることも
忘れてしまったようで。
一叶「それらを覚えていないのは当たり前なんだ。」
蒼「…。」
一叶「話を戻すね。大切な一人娘を亡くした園部家の両親は悲しみに明け暮れた。新たに子を授かることもせず、時間だけが過ぎた。」
蒼「…。」
一叶「数十年後…両親2人とも高齢になった頃、ボクたちのいる実験施設に目をつけた。資産家だし、何かしらのルートで話が流れて行ったみたい。」
蒼「あなたが焚き付けたんじゃないの?」
一叶「どうだろうね。実験施設では、現代における倫理に反したあらゆる実験が行われている。タイムマシン、世界線の融合、乖離……そして、クローン。」
蒼「…!」
一叶「2015年の蒼が亡くなる時、DNAの採取できるものをいくつか保存していたらしい。それを元に、蒼を生き返らせてくれ、と。」
蒼「……。」
一叶「DNAを元に赤子を誕生日させた。」
「それが、今の蒼だ。」
そう、一叶は言い切った。
一叶「ただし、蒼の存在を外に連れ出すわけにもいかない。ボクやその他の職員の手で小学生まで育てられた。」
蒼「その記憶はないわ。」
一叶「だから、整合性を持たせるために後付けをしたんだ。中学生に上がる年齢の頃、ボクらが育てた記憶を削除して、その代わり園部家の両親から聞いた思い出話やアルバム、データを元に再構築し、蒼の記憶に植えつけた。事故に遭って記憶が飛ぶことがあるでしょ?似たようなものだよ。」
蒼「……。」
一叶「追加で、園部家の両親は願ったんだ。蒼が現代で生きる姿が見たいってね。」
蒼「…っ!」
そんな。
じゃあ。
蒼「私は……親のエゴで、戸籍もなくここにいるってわけ?」
一叶「そういうことになる。2人は間違いなく蒼を愛していて、幸せになって欲しかったんだ。……お金持ちって何を考えるかわからないもんだね。」
蒼「……っ。」
ふざけるな、と言いたかった。
精一杯生きてきた。
辛い環境の中、
これはどうしようもないことだと
割り切って生きてきた。
顔も知らない親を恨んだ日もあった。
けれど、何かしらの理由が
あったのだろうと、
もしかしたらDVを受けているなんてことが
あったのかもしれないと、
深追いせず事実を呑み込んでいた。
しかし、実際どうだ。
何が愛している、だ。
何が幸せに、だ。
私は、幸せだなんて、感じたことない。
一叶「普通はありえないんだけど、一時的に、園部家の相続人をボクにした。だから先日除票をもらうことができたんだ。」
蒼「…。」
一叶「部屋を借り、まっさらな状態の蒼を入居させた。中学生だなんてまだまだ子供だから、ある程度関与したけれど、蒼はきちんとした…ううん、きちんとせざるを得ない人だったから、1人で何でもできるようになっちゃった。」
蒼「……そうよ、そうせざるを得なかったのよ。」
一叶「……。」
蒼「結局、全部環境に振り回されてばかりだったのね。」
一叶「……。」
蒼「無戸籍だった。環境が悪かった。でも勉強だけは自分をどうにか変えられる手段だった。けれど、戸籍がない以上やっぱり駄目で……なのに本当はただただ知りもしない両親の願いでここにいる?勉強を続けることも、碌に生きることすらもできない?」
やめて。
どうにか、冷静でいて。
ここで感情的になったって
どうしようもないのに。
蒼「大概にしなさいよ。」
一叶「…あお」
蒼「自分で変えられることなんてひとつもなかったじゃない。」
あぁ。
言ってしまった。
認めてしまった。
いや、元から認めていたのかもしれない。
けれど、改めて口にして
深く実感してしまった。
自分でこの選択肢のない環境から脱するため
選択して、正しく、正しく選択してきたのに。
私の正しさなど元から
あってないようなものじゃないか。
私の存在が間違っていたのだ。
元から間違えているものに
正しさも何もない。
一叶「……それは、ボクが判断して結論づけることはできない。」
蒼「……これから私はどうなるの。その親の元に引き渡されるっていうの?」
一叶「さあ。けれどひとつ、伝えておかなきゃいけないことがある。」
蒼「…?」
一叶「ボクら実験側には、未来の人間を過去に送り生活させる中でいくつもの規約があるんだけど、そのうちの一つに期間の項目がある。契約をこれ以上伸ばせないのはそこが要因なんだ。」
蒼「…6年間の期限。」
一叶「そう。その期限が来ると、基本的に回収、未来の…元の時代に戻ることになっている。」
蒼「なら私に逃げ場はないのね。」
一叶「必ずしもそういうわけではない。さっきも言ったけど、蒼は存在自体が倫理に反している。実験施設から出ることはできない。蒼のご両親の家に連れ帰られることはまずない。ただ、両親側から実験施設に来た時、顔を合わせるようお願いされる場面はあるかもしれないね。」
蒼「……もし、そもそも自分のいるべき時代に戻りたくないと言ったら。」
一叶「意地でも現代に残るというのなら偽装の戸籍はもう使えない。学校は退学、家は退去、住むところはまずなく、働ける場所もグレーゾーンのみ。蒼の知っている未来だ。」
蒼「…。」
一叶「加えて、犯罪等して様々な物事が変わってしまわぬよう、監視の目をつける。本当に、静かに息絶えるのを待つだけだよ。」
蒼「……本当に、死ぬために産まれてきたみたいね。」
一叶「やがて皆たどり着く場所のはずだよ。それが早いから遅いかだけで。」
意図的に近道をさせられているようなものだ。
顔も知らぬ人間に憎悪を抱くなど
感情に支配され過ぎている。
自分でもわかっている。
けれど、無視できる範囲でもない。
私はたった今、
これっぽっちも未来がないのだ。
この時代で野垂れ死ぬか、
未来で施設に幽閉されるか。
だらだらと今のように生きながらえるか。
もしも普通の人だったら
「もっとこうしたい」「あぁしたい」が
あったんじゃないか。
欲しがることだってできたんじゃないか。
遊べたんじゃないか。
何も考えないでいられたんじゃないか。
それこそ、やりたいことだらけで
きっとそれら全てを行うことができる
藍崎さんのように。
少しだけ羨ましいと思ってしまった
彼女のように生きれたのではないか。
私はもう少し
自由に生きられたんじゃないのか。
けれど、自分で決められることも
もうないというのなら、
最後まで環境に任せて
その未来に堕ちるのが
1番楽なのかもしれない。
環境ばかりを恨んでいれば
それでいいんだもの。
もう、頑張らなくていいの。
そう思うと気が楽になる。
そっか。
頑張ってきたんだ。
一叶「……蒼がどちらを選ぼうと構わない。どちらでもいい。」
蒼「えぇ、そうでしょうね。」
一叶「けど……面倒な手順はあるけれど、実験施設は適切な人間なら入ることができるから。」
蒼「……。」
両親の、ような。
唇を僅かに開いて、閉じた。
蒼「契約は、いつまで。」
一叶「明後日。」
蒼「……わかった。それが聞ければ十分よ。」
席を立つ。
一叶とはもう目が合わせなかった。
°°°°°
そりゃあ、花瓶も置かれるわけだ。
死んだ私の代わりなのだから。
この場所が過去の私を
弔う場だとすれば納得するしかない。
そしてたった今咲いている
…設置されている、おそらく造花であるもの。
造花の方が寿命は長くとも
いずれ壊れてしまう日が来る。
蒼「……そう思うと、藍崎さんの行動もありがたかったものね。」
夢を連続で見続けるようになった
初日の出来事を思い出す。
°°°°°
七「これ!駄目なやつだよね?」
蒼「え?」
七「ほら、あるじゃん!いじめで、みたいな!」
蒼「…あぁ。」
七「だからこれは…うーんと、うーんと…後ろの棚の上に置く!」
蒼「別に誰かが座っているわけでもないのに。」
七「でもなんか嫌じゃん!」
蒼「…好きにすればいいわ。」
七「はーい。」
°°°°°
私は何もしなかったのに、
藍崎さんは花瓶を退かしてくれた。
気分の悪い悪戯だと思ったけれど、
その行動のおかげで
勝手に少し胸の中の澱が
溶けたような気がした。
もしも自分で花瓶を退かしたら。
自分の存在を否定するようなことを
行ったなら。
そんな空想を膨らませるも、
頭を小さく横に振って
手元のプリントに向き直る。
これまでのように簡単な数学の問題が5つ。
すいすいと解き終えて伏せておく。
そして、もう1枚のプリントを手に取った。
明日までなら、
この自己分析のようなプリントも
もうすぐで終わる。
蒼「…。」
気が軽くなるはずだった。
そう思っていた。
けれど、思っている以上に
自分は何もない存在だと
突きつけられてきたことが脳内を過る。
終わる前に、
何か1つでも見つけられたならよかったのに。
見つけて、藍崎さんに頼らず
書くことができれば。
質問が、目に入る。
たった1行の短いものだった。
『いつまで生きていたいですか』。
たった、それだけ。
いつまで。
生きて、いたい。
ですか。
言葉を区切ってもう1度目を通す。
言葉をうまく咀嚼できなかった。
いつまで。
そっか。
いつまで。
わからないわけがないのに、
読むのに時間がかった。
生きる。
生きていたいか。
…。
…。
そんなの。
もう、いいわよ。
いつまでって。
もう、終わるかもしれないものを。
いつまで縋ってたって
どうにもならないものを。
こんなもの。
明日で…
明日で、いい。
はずなのに。
蒼「……っ。」
ペンが滑り落ちる。
馬鹿みたい。
馬鹿みたい。
何で、たった今。
今に限って。
思いが、ぼろぼろ、溢れてくる。
蒼「…っ……生きて…いた、い…っ。」
生きてたい。
生きていたい。
この先もまだ。
できる限り、長く。
足に力が入らなくなり、
教卓に隠れるようにしてしゃがむ。
もっといろんなことを知りたい。
学びたい。
経験したい。
また舞台だって見たい。
古夏と杏と
演劇部のみんなと舞台に立ちたい。
いつまで。
この欲が終わるまで、ずっと。
長く。
明日を越して、
来年を迎えて、
誕生日を迎えて。
1年、5年、10年。
まだ、まだ。
まだ。
まだ。
「……先…輩…?」
蒼「…っ!」
何でこんな時に。
藍崎さんは横から教卓を覗き込むように
顔を傾げていた。
とんでもないところを見られてしまい、
すぐさま顔をそっぽに向ける。
立ち上がって、
隠すように涙を拭う。
蒼「何よ。」
七「……ううん、私、何も見てないよ。」
蒼「……っ。」
七「テスト解いてくる!」
たた、と自分の席まで走り、
テストに向き合っているだろうことが
見ているかのように想像できる。
どうしてこんな時に限って
何も見てない、なんて言えるのだろう。
今だって顔をあげれば
無様に俯いている私が映るはずなのに。
あなたはこれまで本当にしつこかった。
中学時代では見かけるたびに声をかけ、
教室まで追ってきたり
大声で話しかけたり。
高校に入ってから多少緩和されたけれど
それでもまだ過干渉の域から外れない。
それなのに、どうして今だけ。
蒼「…っ………ぅ…。」
放っておくことができるのか。
自由なあなたは
とんでもなく自由な選択が
できるのだと思い知る。
もしかしたらもっと前から
駄目、無理だなんて
言わなければよかったのかもね。
藍崎さんに限ってはそんな陳腐な枷
必要なかったのかもしれない。
目元を拭い、
ようやく自分の解答用紙に向き合う。
七「私ね、先輩に憧れたの、もちろん人前に立っててかっこいいとか、みんなを引っ張ってるのがかっこいいとか色々あったよ。」
白紙の多いプリント
…質問の方の紙に書き込みながら
私の方を振り向くことなく言う。
七「でもね、1番はね、みんなのことちゃんと見てるんだって知ったのがきっかけだったんだ。」
蒼「…。」
七「何のボランティアか忘れたけど…参加してた時にね、蒼先輩がたまたまいたの。それで、参加してた人にお茶か何かを配る時、ここを頑張ってたね、こうしてくれてありがとうって、1人1人に言ってたんだよ。」
蒼「……そんなこと、あったかしら。」
七「あったよ。私が覚えてるもん。」
蒼「……。」
七「記憶にないなら、それくらい毎回無意識でやってたんじゃないかな。とにかく、みんなのことを見て認めてて…それってすごいなって!」
蒼「…。」
七「その時に先輩、言ってくれたの。一生懸命で素敵だって。明るくて元気が出るって。」
…そんなこと言っただろうか。
中学3年の時、文化部の活動の一環として
ボランティアに参加する…という
行事があった気がする。
確か、よくある地域清掃の類だったはずだが
妥協せず、地域の人ともよく話し、
まるで嫌なことなど
ほんの少しもないかのように
楽しそうに葉っぱやゴミを
かき集める生徒がいたと思い出す。
当時から自分の在り方に迷っていた私は、
きっと同じような言葉を
かけて欲しかったのだろう。
自分の頑張りを認めてほしいがために
他人を誉めるなんて
褒められた行為ではない。
けれど、唯一微かに期待を
持つことができる箇所だった。
結局つぶさに私のことを見て、
隠されたことまでの頑張りを
褒められるようなことは一切なく、
こんにちまでに至った。
時間は他人に使うのではなく
自分に使う方がいい。
そう思いつつも、
助けたらいつか返ってくるのだろうか、
自分の不幸が報われたりはしないだろうか、
そんな思いで手を貸した時も多かった。
愚劣な選択にも程がある。
何度も自分を恥じた。
なのに。
七「あの時、蒼先輩がそう言ってくれたから、これからももっとぜーんぶ、一生懸命頑張ろうって思えたし、みんなに楽しいが伝わるくらい笑顔でいようって思ったんだー!」
蒼「……そう言ったのが私じゃなければよかったわね。」
七「何で?やだよ。」
藍崎さんは、常に真っ直ぐで
私と違った正しさを持っていた。
その正しさは時に凶器になり、
時に、信じられないほど
柔らかい光のようなものになった。
七「私、蒼先輩がいい。蒼先輩と会えてよかったって、毎日思ってるもん。」
席を立ち、プリントを持ってくる。
数学の方はまだ解いていないようで、
1枚だけを慌てて教卓に開く。
蒼「…!」
七「蒼先輩も早く書いてね!数学してくる!」
私がこの質問に
迷うことをわかっていたみたいに
プリントを置き去りにして戻っていく。
『いつまで生きていたいですか』。
『ずーっと!おばあちゃんになってよぼよぼになっても、生きていられるまでずっと!』
『蒼先輩も真似していいよ!特別だよ!』
子供らしい。
本当にくだらない。
くだらない、けど。
蒼「…。」
ペンを取る。
そこに、もう悩みもなく
黒い線を書き足した。
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