試験会場へゴー!!
野林緑里
第1話
今日は試験だ。
今後の人生を左右するかもしれない試験。
そう
入学試験の日を迎えたのだ。
よし!
絶対に合格するぞ!
そんなふうに気合が入っているんだけど、どうも不安がぬぐえない。
本当に合格するかの不安もだけど、果たして試験会場にたどり着けるかと言う不安だ。
たどり着けるかってどういうことかって?
それには幾つかの理由がある。
ひとつは私の下腹部に激痛が走っていること!
月に1回の激痛。
毎回薬を飲んで抑えているんだけど、どうも今回は効いてくれないらしい。
でも試験にはいかないといけない。
ここで人生が決まるんだもん!
とにかく行かないと私の夢が終わってしまう!
でも
痛い。
本当に痛い。
「こっちを飲んでみて。効くわよ」
「うん。ありがとう」
私は母に勧められていつもと違う薬を飲む。
ごっくん
いたたたた
痛い!
即効性じゃないのか!
「飲んですぐ効くわけないじゃない。家を出る頃には収まるはずよ」
うーん。
それならいいんだけど。
でもまあ
時間が立つにつれて下腹部の痛みは確かに収まっていった。
よし!
どうか試験が終わるまでは痛くありませんように。
私は祈りながら玄関へいき、靴を履く。
「行ってきまーす」
母に元気よくいうと玄関を開ける。
「げっ」
そして新たな問題。
それは大雪だ。
私の住む地域では滅多に降ることのない雪が振りまくり、私の膝の高さまで積もっているのだ。
いやいや
電車動くかな?
ネットじゃあ、電車走ってるといったし大丈夫よね。
でもどうやって駅までいくの?
こんな積もってんのみたことないんですけど
「これ履きなさい」
振り向くと母が別の靴を持っていた。
「これは雪でもスイスイと歩ける靴よ」
スイスイと?
泳ぐの?
泳ぐのかしら?
「うん。わかったわ。ありがとう」
私は母が渡してくれた靴に履き替えると積もった雪の上を歩き出す。
スイスイ
あっ
ほんとうだ。
スイスイといくわ。
いいわ。
いいわ!
スイスイといく。
スイスイ
スーイスーイ
楽しくなってきたわあ。
思わず鼻歌を奏でちゃう。
スーイスーイ
そんなこんなでようやく駅にたどり着く。
駅前はまったく雪は積もっていない。
どうやら除雪をしたらしい。
除雪?
こんな滅多に雪の降らない地域に除雪機でもあるのかしら?
いやいや
手作業よね。
だってあっちにスコップをにごったままぐったりと座り込むおじさんたちがいるじゃない。
ありがとうございます。
ご苦労さまです。
私は試験へいってきます。
そして私は駅の中へ入ると電車に乗り込む。
電車の中には私と同じように試験へと向かう人たちで溢れている。
目的地は同じ。
彼らに負けないようにがんばらないとね。
電車のドアが閉まる。
『この電車試験会場行きです。試験会場行きです。ちなみに試験会場にたどり着くまでも試験ですのでお間違いのないように』
そんなアナウンスがなる。
電車が走りだす。
『さっそく本試験前に前試験を行います』
そんなアナウンスが聞こえると電車の中にいる受験者みんなが立ち上がり身構える。
すると電車の進む進行方向からニョロリとなにかが出てきた。
ヘビだ。
大きなヘビが何匹も出てきたのだ。
『これは巳です。みなさんちゃんと対処してくださいね。見習い戦士のみなさん健闘を祈ります』
はいはいはい
頑張ります。
下腹部さん痛くならないでね。
この試験に合格して世界の脅威から守る戦士になります!
試験会場へゴー!! 野林緑里 @gswolf0718
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