第五章:新生活
ぴのこの新しい生活が始まった。毎日が少しずつ変わり、希望を感じることも増えていった。最初は不安が大きかったが、がらどんどんとの同居生活は予想以上に楽しく、心地よいものだった。
朝、ぴのこが目を覚ますと、すでにがらどんどんが台所に立っている。コーヒーの香りが部屋を満たし、トーストが焼ける音、包丁が野菜を刻むリズムが心地よく響く。こうした何気ない日常が、ぴのこの心を少しずつ癒していった。
「ぴのこさん、朝はちゃんと食べなあかんで。ほら、今日の分や」
ぴのこは差し出された彩り豊かな朝食に驚きながらも、しっかりと食べることにした。実家ではこんなふうに気遣ってもらえることはなかったから、ありがたく感じた。
「こんな贅沢しなくていいのに」
「何言うてんねん。うちが作りたくて作っとんねんから、気にせんでええわ」
がらどんどんの言葉には、ぴのこを支える力があった。実家では経験したことがない温かさがここにはあった。がらどんどんと過ごす日々が、ぴのこにとって新たな希望の光となっていた。
「ぴのこさんは今日は何時くらいに帰りはる?」
「21時は過ぎそうですね、トドオカ部長のモデルにしていた上司が最近煩くって」
「うそ!あのキャラクターに元ネタおったの!?それこっそり見たいわぁ!」
がらどんどんが楽しげに話す様子を見て、ぴのこは心の中で笑みがこぼれる。その無邪気な態度が、少しずつぴのこの緊張を解いていった。しかし、心の底にはまだ不安な気持ちが残っていた。
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