ジャンル選びに悶々(3)

 実を言うと、しばらくプロローグはありませんでした。


 プロローグからズバッズバッと書ける方、尊敬します。序章の段階で結末まで見通せ、第1話に無数の種をちりばめられる方、崇拝します。


 私は最後まで来てから、そろそろ書けそうかなと、辻褄つじつまが合うような話を短編として出しました。

 この時はまだプロローグではなかったのです。

 これがいずれ昇格するんですけど、実は本編で触れたあれとあれにあれはこうだったんです、の完全に後出しジャンケンです。


 短編として、第1部と第2部の間で突如、幕間として登場させました。幕間ってこういうの書くんだっけ?

 何はともあれ投稿小説が2つになった。ひとつよりがぜん格好つくよねえ。自己満足。




 それから数日後、誤字が残っていないかと確認中に気づいてしまいました。元々希薄なファンタジーがこの短編には皆無なことに。ナッシング。ニヒルです。

 登場人物の誰もがまだ状況がよく分かっていない前日たんだから当然なのだけれど。


 これをハイファンとして出したのは確実にジャンル詐欺だな、こりゃ。

 短編として独立させた報いがやって来た。さて、どうしようか。


 ならば、アルコールにまみれたヒューマンドラマを二階級特進させよう。これしかない。すくっとしたメインも優しいサラダも押しのけて、もう固形物なしの単なるお酒愛好家です。

 まあ、幸い内容もそんな感じだし。


 ということで、突如、文芸のヒューマンドラマに設定して再出陣です。

 ああ、その前にタイトルも変更していたりします。諸々もろもろ変更した言い訳も書き添えました。

 文芸ジャンルにしたときに反応がどうなるかなという下心があったことも否定できません。




 それから半年近く、完結間際になって、あらためて中途半端な幕間短編を読み直してみれば、今さらはっきり気づかされました。


 やはり、これは序章だよね。プロローグだよね。独立短編じゃないよね。

 どっからどう見ても、道中の寄り道お使い討伐SSって柄じゃないし。

 はっきり、この時が始まりとかうたっているし。


 でも、完結間際で第0話として先頭に割り込ませるのは、小心者としては躊躇ためらわれました。


 無理やり引き止めたあげく、もう水菓子も終わり、最後のお茶を流し込んで逃げるように席を立とうとしている数少ない貴重なお客さまに、今さら食前酒と先付けを持って来たら怒鳴られます。迷惑極まりない行為です。




 それでも意を決して、完結前にこっそり序章の位置付けに変更。話は矛盾なくつながるようにわずかに文言をちょちょいと修正してと。

 最後にハイファンにすり替えて更新ポチり。


 ちなみに、カクヨムでは最初から異世界ファンタジーです。ヒューマンドラマないんだもの。あるんだっけ? 現代ドラマはちょい違うんだよなあ。


 その直後から、それまでほぼ途絶えていたPVが増えた。あらら。

 なんで、ねえ、なんで? Xから来たのかなあ。こりゃまずいな。


 よう知らんけど突如序章が湧いてきた。これ別の話かよ、とりあえずポチってみるか、つまんなければ即ブラバだぜ、と思ったかどうかは分かりませんが、許容力マックスの殊勝な方でも、なんか見たことあるぞ、と口をへの字にして戻るボタンを押したに違いありません。

 すみませんでした。出戻りに気づいた方、重ね重ね申し訳ありませんでした。




 要するに、まあ結論にもならない結論としては、最初の直感ひらめきは結構正しいのだ、それにサクッと決めれば良し。


 あのう、それがすんなり決断できないから困っていたのよ。


 何はともあれ、数々の疑問をかかえたまま物語は完結したのでした。悶々。




 そのうち続編をくんでしょうけど(人ごとみたいですが)またもやもやするんだろうなあ。タグ付けにも迷い、あらすじもぐるぐると……。


 それともいっそ異世界恋愛王道のテンプレを書こうか……。


 いや、いや、それは私の求めるスタイルじゃない、断じて。


 そう、初志完遂でしょ。そう言ったよね。まだ物語は道程半ばだし。途中で投げ出すのは愛する登場人物たちを路頭に迷わせることになる。失礼でしょ、無責任です、めっ!


 はい。いやあ、危なかった……。 (ゆかり)



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最後まで実のない駄文にお付き合いくださったあなたはとても包容力があります。すてきです。ありがとうございました。

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