第2話 アレスVSオーキッド①-霧深き森-
オーキッドの先攻からゲームが展開される。
オーキッドの手札の中から1枚を選んで、それを台座の上に置いた。
「まずはこいつを召喚する。深緑の狩人だ!」
深緑の狩人/カテゴリー:ハンター/種族:人間種/性別:男性
レベル:3(コスト:1)/パワー:8000
効果1(分類:永続/発動場所:フィールド/適用コスト:なし):このカードが猛獣種、幻獣種、魔獣種と戦闘する間だけパワーを2倍にして計算する。
オーキッドの目の前に緑色の帽子を被った狩人の青年が出てきた。青年は弓を構えて攻撃の準備をしている。
コスト:1の深緑の狩人を召喚したことで、オーキッドのスモークゾーンに設置されているカードが1枚消失した。
「まだまだ! 霧深き森を召喚!」
霧深き森/カテゴリー:フィールド/種族:植物種/性別:両性
レベル:4(コスト:2)/パワー:1000
効果1(分類:永続/発動場所:フィールド/適用コスト:なし):このカードは攻撃された時、戦闘する間だけパワーを19000加算して計算する。
効果2(分類:永続/発動場所:フィールド/適用コスト:1):この永続効果が適応されている間、自分のハンターカテゴリーのモンスターは攻撃されない。
「うげ……出やがった。オーキッドお得意のコンボだ」
アレスは霧深き森が出現した時に露骨に嫌そうに口を尖らせた。
基本的にモンスター同士の戦闘ではパワーが上の方が勝つようになっている。
霧深き森は元々のパワーは大したことはないものの、防衛時にパワーを上げる性質を持っていた。
霧深き森は自分のハンターカテゴリーのモンスターを守る性質を持っているので、このカードを突破しない限りオーキッドの防衛ラインを崩すことはできない。
アレスはこのコンボを突破できたことはなかった。
いきなりこのコンボを決められてアレスは頭を抱えてしまう。
「当然僕はコストを1支払って霧深き森の永続効果を適用させる」
オーキッドのスモークゾーンから、霧深き森の召喚コスト2と効果を発動した時のコストがそれぞれ消失していく。
元々スモークゾーンに5枚あったオーキッドのカードは1枚だけ残った。
「これ以上僕からはなにもすることができない。ターンエンドだよ」
オーキッドがターン終了すると、アレスのターンに移行する。
アレスの目の前に6面ダイスが転がってきた。そのダイスの目は3を示していた。
「俺のターンだ! ダイスの目は3。よってデッキからカードを3枚めくる」
アレスはデッキの1番上から順番に3枚のカードをめくって自分だけ確認する。そして、その内の1枚だけを残して2枚をスモークゾーンへと移行させた。
これがターンプレイヤーが最初に行う処理である。
ダイスの目と同じ数だけデッキからカードをめくり、そしてその中から1枚だけを手札にして残りはコストとして使用できるスモークゾーンに溜める。
先攻プレイヤーのみ1ターン目はこの処理を行わない。だから、オーキッドは最初のターンにドローの処理を行わなかった。
「オーキッドの深緑コンボを打ち破る手段は今の俺にはない。ならば、俺も防衛ラインを固めるまでだ!」
アレスは手札の中から1枚を選び、それを台座の上に置いた。
「召喚コスト2を支払い、レヴナントを召喚!」
レヴナント/カテゴリー:ゾンビ/種族:不死種/性別:男性
レベル:4(コスト:2)/パワー:8000
効果1(分類:任意誘発/発動場所:墓地/発動コスト:1):このカードが破壊されて墓地に送られた時、発動コストを支払い墓地からこのカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたこのカードが墓地に送られた時、このカードはゲームから除外される。
ゾンビのように血色が悪い男性が召喚された。このカードは破壊されても蘇生する効果を持っている。
「よし、これで俺はターンエンドだ」
こうしてお互いのターンが終了して、またターンプレイヤーはオーキッドに戻ってきた。
オーキッド:手札:3 スモーク:1 墓地:0 トラッシュ:4 デッキ:50 ダメージ:0
フィールド:深緑の狩人、霧深き森
アレス:手札:5 スモーク:5 墓地:0 トラッシュ:2 デッキ:47 ダメージ:0
フィールド:レヴナント
手札の枚数。スモークゾーン等のリソースはアレスの方が優位なものの、盤面ではモンスター2体を展開できているオーキッドの方が支配している。
まだゲームは始まったばかりではあるが、オーキッドの方が優勢である。それはお互いが理解しているところだった。
「僕のターンだ。ダイスの目は……」
オーキッドの前に転がったダイスの目は2を示していた。
「まあ、ハズレな目かな」
オーキッドは渋々デッキの上から2枚カードをめくる。そして、その内の1枚を手札に加えて、残った方をスモークゾーンに加えた。
このダイスの目こそが勝敗を握っていると言っても過言ではない。
カードゲームは基本的にリソースの取り合いである。このゲームとて例外ではない。
リソースを増やす手段としてこのドローの処理はかなり重要である。
カードを召喚するにはそのモンスターのコスト分のスモークゾーンのカードが失われる。
逆にスモークゾーンのカードが尽きない限りはいくらでもモンスターを展開できるのである。
ダイスの目が少ないと言うことは、それだけ展開の選択肢が狭まることを意味している。
しかし、オーキッドは既に盤面的な優位を確立していた。
だから無理に展開する必要もないのである。
「僕はこのコスト1の肉食ワームを召喚する」
肉食ワーム/カテゴリー:ハンター/種族:怪虫種/性別:無性
レベル:3(コスト:1)/パワー:9000
効果1(分類:任意誘発/発動場所:墓地/発動コスト:1):このカードが破壊されて墓地に送られた時、発動コストを支払い墓地のこのカードをスモークゾーンへと送る。
またハンターカテゴリーのカードが登場する。
このカードも霧深き森によって守られていて攻撃をすることができない。
「それではアタックフェイズに移行する。僕は深緑の狩人でレヴナントにアタックをする」
深緑の狩人とレヴナント。両者のパワーは8000で全くの互角である。同じパワーを持つ者同士での戦闘は両者引き分けでお互いが破壊されることはない。
しかし、このゲームにはあるシステムが存在していた。
「霧深き森による援護! このカードのパワーの半分を戦闘する間だけ深緑の狩人に加算する!」
援護システム。モンスターにはそれぞれ1ターンに1度攻撃することができる権利がある。
攻撃権を消費して攻撃をするのであるが、1度に2体以上のモンスターの攻撃権を消費することもできる。
それが援護システム。攻撃の主軸となるモンスターのパワーはそのまま、援護するモンスターのパワーを半減にしてお互いが協力して相手に攻撃する。
深緑の狩人は霧深き森の援護を受けて、パワーを500上げている。つまり、レヴナントのパワーを上回ったのである。
深緑の弓矢が矢を放ち、レヴナントに攻撃をした。パワーで負けたレヴナントは破壊されて墓地へと送られた。
「レヴナントが破壊されたことにより、まずは破壊されたモンスターのレベルの数だけデッキの1番上から順番にスモークゾーンにカードを送る」
レヴナントのレベルは4だから、4枚だけアレスのデッキからスモークゾーンにカードが送られることになった。
「そして、レヴナントの効果発動。スモークゾーンのカードを1枚消費してレヴナントを特殊召喚する!」
墓地に送られたレヴナントは再びフィールドへと舞い戻った。
しかし、この効果は基本的に1度しか使えない。
もう1度レヴナントが破壊された時に送られる場所は墓地ではなくて除外されたカードが送られるトラッシュゾーンなのである。
「肉食ワームでレヴナントに攻撃」
ワームがレヴナントを丸のみにする。レヴナントは姿かたちを消してしまい、アレスのフィールドは空になった。
「レヴナントは破壊されたけど墓地にはいかずに除外される。カードが除外された場合はスモークゾーンの拡充は行われない」
アレスは基本的なルールを口にして確認した。
モンスターが破壊されて墓地に送られた場合はそのレベル分だけスモークゾーンのカードは増える。
しかし、墓地に送られずに除外された場合はその対象外である。
「アレス。肉食ワームのパワーは9000。それに対してレヴナントは8000。その差は1000。ダメージの差1000につき1点のダメージを受けてもらう」
「うぐぅう……!」
アレスはダメージを受けた。この
アレスは1ポイントのダメージ分だけ追い詰められてしまった。
「これで僕はターンエンド。さあ、アレス。次は君のターンだ」
オーキッド:手札:3 スモーク:1 墓地:0 トラッシュ:5 デッキ:48 ダメージ:0
フィールド:深緑の狩人、霧深き森、肉食ワーム
アレス:手札:5 スモーク:9 墓地:0 トラッシュ:3 デッキ:43 ダメージ:1
フィールド:なし
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