第2話 身体検査
そこは中ぐらいの大きさの「病院」。
建物自体は古い感じで、所どころにコンクリのひび割れが見られ、如何にも怪しい雰囲気だった。
しかし、俺はここに入院しに来た訳でも無く手術する訳でも無くただ「バイト」をしにきただけだ。先輩が慣れたようにガンガン進んで行くので色々と探ることは出来なかったが、まぁ大丈夫だろうと高を括り余裕を見せていた。
「〇〇さん、居る??」
先輩が受付っぽい所で不愛想な女の看護師に誰だかの所在を確認する。女は返事することも無く内線の電話をかけて二、三のやり取り後
「どうぞぉ」
と、こっちを見ることもなく引き続き何を見ているのか、モニターを見ながら手だけでジェスチャーをして奥へと促される。
奥の方へと進んだ先輩は、突き当りの診察室っぽい部屋をノックをすることもなく開けてずかずかと乗り込んだ。
「ああ、どうも、こんちゃっす」
眼鏡をかけたガリガリの、いかにも医者って感じの男がカタカタとPCを打ち込んでいる。
何かの論文でも書いているのか、どっかの句読点まできたような所でこっちを向いた。
「やぁ、こんにちは。君かい?新しい子は」
「はい、そうっす。電話で話した『代わり』っすね。まぁ健康状態はもち問題無し。大丈夫っすよ」
俺はただ黙って首だけで挨拶をした。
この医者はさっきの看護婦とは正反対で、表情も豊かで愛想が良かった。それはそれでまた別の意味で気味が悪かった。
「じゃあ早速、色々と検査しますねぇ。荷物とかはそこの籠に置いといて。こっちに来て」
よく見る医者と問診するような空間の、更に奥へと通され隣の部屋に行くと体重計や子供の時に見た身長を測るやつ等の機材が置かれていた。
間もなくして別の看護婦がやってきて俺に身体測定は始まった。
淡々と作業をまた無愛想にこなしていく女は常に心ここに在らずで、人間味を感じない。
俺もさっさと終わらせたかったし、質問することも無く同じく淡々と言われるがままに指示に従った。
最後に血を取られ、看護婦が初めて喋った。
「では、来週の月曜日にまた来てください。問題無ければそこからはここに泊って貰いますので、ご準備の方よろしくお願いします」
何をどうするのか、どんな内容なのかを聞いたりすることもなくその日は終わった。まぁ、検査結果に何かあればこの話もそもそもに無くなるんだろうとも思って気にはしてなかったが、気が付けば先輩がどこを探しても居なくなっていたことには少しイラっとはした。
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