3,403文字『治験と試験』【お題で執筆!! 短編創作フェス】チャレンジ🌟

白銀比(シルヴァ・レイシオン)

第1話 悪友

「めちゃ楽なバイト、紹介してやろうか?」


 学生時代の先輩にそう、声をかけられた。


 正直に言えば、俺も”いい子ちゃん”って訳じゃ無かった。

 って言ってもドラマや映画に出て来るような、流行の喧嘩上等ゲームにあるような「ザ・悪」ってもんでもない。ただ単に遊ぶのに”やんちゃ”グループのが楽しかったってだけで、人に迷惑をかけるようなことはしなかった。


 勿論、そういう友達やつもいたよ。

 バイクを好き放題乗り回したり、クラブで女を誰でもやり放題なやつとかもな。

 俺はそれを見てただけで、横や後ろで笑ってただけさ。

 注意や止めたりしないのも罪、って言うのなら、俺も悪かもしれんが。


 まぁ、とにかく、ファミレスの深夜に仲間とボケっとしてたら先輩とその彼女とたまたま鉢合わせて、そして捕まった。


 この先輩は・・・まぁ正直に言えば「面倒くさい」タイプで、噂では反社とも繋がっているとかなんとか。って言っても「本ちゃん」じゃなく「半グレ」の方だと思うけどね。今じゃそっちの方が色々とヤバイってことでもあるけど・・・・・・


 で、この先輩が言う「楽なバイト」というのが、噂では聞いた事がある「」だ。俺はこの時、丁度やってたバイトをムカついたんで辞めたばかりだってのもあって、真面目に探すのも面倒くさくて、ついこの悪友である先輩の話を乗ってしまった。


「色々あるみたいだけどな。俺がやってたのは『新作タバコ』の治験だ。一か月、ずっと渡される分のタバコを吸ってりゃいいんだ。お前も吸うだろ?三食も付くし後は自由。昼寝付きだぜ。ただ、『興奮すること』とかは禁止だった。例えばシコったりゲームで感情的になったりな。定期的に血を取られる。それだけだ。楽だろ?」


 本心を言えば、マジ?って感じだった。


「それだけで俺は確か・・・十三万は貰えたぜ。他にももっと金が良いバイトもある。大腿骨だったか腕の骨だったかを綺麗に折られる。それだけで二百万とからしいぜ。俺はそれやらなかったけどな」


「二百万・・・微妙だなぁ」


「まぁ、急ぎでそこそこの”現ナマ”が欲しい奴ならやるんだろうな。居るじゃん、金融に手を出して今日払わないと・・・って奴な。俺はそこまで困ってねぇからよ。で、女も出来たしそろそろそういった『』生活を止めなきゃなと思ってよ」


 こうして俺は、次の日この先輩に着いて行ってこのバイトをすることになった。

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