第2話 この世界

 自分で言ってて気づいたこの世界は異世界ではなくこれから住む自分の世界だ。インターネットも無いし情報は貴重だろう。モモに色々聞いてみよう。

「この世界の事教えてほしいな」


「いいけどそんなに詳しくないよ」


「少しでも知っておきたいし」


「そんなに私の事が知りたいの?いいよ~!何でも聞いて~」


何か違うがとりあえず休めるところまで行きたい。

「できたら町に向かいながら色々教えてくれるかな?」


「あ~この世界知らないなら町の手前に私たちの冒険者パーティーの建物有るからそこで一旦休憩しよう」


「冒険者?パーティー?」


「冒険者っていうのは地図にない所を探検したり、ダンジョンに行ったり、狩猟したり、傭兵、護衛……の仕事をする人の事。私もだね。そして冒険者ギルドっていうところから仕事を貰う。基本そこを通さないと仕事は受けれない。パーティーは仕事をするときに一緒に行動する人たちね。多すぎると報酬減るし、少ないと危険。それでお仕事で使う武器とか道具を置く小屋みたいなのが近くにあるの。一応仮眠もできるから。町に着くまでに全部説明できないよ」


「案内よろしくね」


 歩きながら聞いた。元々この世界は中央王国という自分たちが世界の中心だと思ってる大きな国とその他小国だったらしい。小国の中には獣人とかエルフとか俗に言う亜人と呼ばれる人の国も有った。一応は平和だったらしいが中央王国は人間中心主義というか自分たちが生き物の頂点でその下に亜人等が居ると考えていた。


 そしてある時魔獣と呼ばれる魔力で強化された生き物が現れ各国が攻撃された。中央王国は自分たちを守る為亜人を騙し奴隷化して戦わせた。そして亜人側も中央王国に怒り、人間対亜人対魔獣という最悪な展開となった。


 中央王国は後に異世界勇者の召喚と呼ばれる魔法を多数の犠牲を出しながら使用した。来た人間は戦いを知らない人であったが強力な魔法を使えることが分かり魔獣討伐で活躍した。



その褒美として勇者には国が与えられた。そこは勇者の国と呼ばれ中央王国と亜人の国の国境付近を領土とした。緩衝地帯として中央王国に利用されたのだった。


 勇者自体は差別をしなかった。異世界から呼ばれ戦わされた勇者に亜人たちは同情していたし、魔獣退治で助けられたりもした。やっと平和に……というのは勇者の死で終わった。普通に寿命で亡くなったのだが勇者の死後、中央王国が世界を自分の物にしようと戦争を起こした。


 勇者の子供は強かったみたいだ。圧倒的多数の中央王国軍に対し勇者の国+亜人は少数精鋭で対抗。


両者ともに大きな被害を出した。勇者の国は滅亡した。そこに魔獣の大氾濫が起こった。


 基本的な戦いは男が戦った。しかし戦争で男は減っていた。女性が魔法や弓などで戦わないと数の多い魔獣にはもう男の数が足りなかった。特に中央王国は女性に戦わせるのを嫌がりほとんどの男が戦死した。落ち着いた時には男女比が1:50位になっていた。今がその状態らしい。今向かっているのは戦争とかが嫌になって逃げだした人たちが集まった集団の町?国?みたい。そこはどこから来た人でも住める場所らしい。


 で、今男不足+異世界勇者の子供は強かったということで丁度良い年齢の男が来て更に異世界人だと知られると誘拐されてもおかしくなから先にギルドに相談して対策した方がいいと。「もう今日は遅いから明日私がギルドに報告に行くね。その間ここで待ってて」と言ってくれた。


モモが謝りながら聞いてきた。


「ごめん。まだ名前聞いてなかったよね?」


「俺はセイトだよ」


「セートだねわかった」


「ん?まあいいかよろしくね」


「今日から一緒に生活するんだしきにしないで」


「????」


「住むところないよね?食べるものないよね?仕事ないよね?」


「ソウデスネ」


「結婚するんだし。いいよね?」


「ですからまずはお付き合いからお互いを知ってだね……」


「じゃあ今から恋人だね。」


「なんでそうなる?」


「えっ?お付き合いからだよね?それって恋人っていうのと違うの?」


「というか俺でいいのか?」


「異世界人との恋は物語の定番なの。もし私と恋人でないなら町で大変な目に……」


「とりあえず仮の恋人で」


「ありがとう。でも少なくてもこの辺りは男は取り合いになるから気を付けてね。知らない人についていったら駄目だよ」


「子供じゃないんだだし大丈夫だよ」


「そう言えば私より若く見えるけど何歳なの?」


「今21……」


「ごめん。年上なんだ。でも丁度いい位の年齢差だね」


「まあそういうことにしておくよ」


2で楽しく会話しこの日は終わった。




 翌日モモがギルドに向かっている間一人で居たら誰か来た。


「鍵開いてるよお姉ちゃん」


「誰か居るのかな?って誰?男?」


「あの昨日モモに拾ってもらったセートと言います。今モモはギルドに報告に行ってます」


「モモって昨日気になる場所に偵察に行くって言ってたのに、男拾って帰ってくるとは……」


「こんにちは私は妹のサザンカこちらは姉のツバキです」


「いきなりごめんなさい。この子の姉のツバキよ。ねぇあなた独身?結婚の予定とかは?」


「お姉ちゃん。挨拶としてそれはどうなの?すみません。モモと同じ”太陽の光”の仲間です」


「ツバキさんとサザンカさんだねよろしく。太陽の光ってパーティーの名前?昨日モモにも求婚されたよ」


「さんなんて要りません。サザンカと気軽に読んでください。その私も結婚とか夢見てまして。ここで会えたのも何かの縁ではないかと……」


「サザンカあなた意外と積極的ね。流石に私の妹!」


いやそれ姉妹関係あるの?声には出さないけど。


「とりあえずモモの帰りを待ちませんか?」


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