第2話 鬼になりました
はい、鬼になりました。
鬼とは言ってもよくゲームやライトノベルに登場するオーガという魔物だろう。
所謂異世界転生というやつだ。
今、目の前にはツノの生えた醜悪極まりない顔面がこちらをのぞいている。
恐らく今世での私の親である。
コイツをオガ母さんと名付けておくとしよう。
「グギャッギャ」
マジで何を言っているのかさっぱりわからない。知能の低さを感じさせる。
「グギャ!」
オガ母さんは一度洞穴から出ていくと何かを抱えて戻ってきた。
それは人間の死体だった。
死体を適当に地面に下ろすと私以外のオーガの子供達が死体へと群がりソレを貪り始める。
やばい、ヴィーガンじゃないけどヴィーガンになりそう。
無論私は喰うことが出来なかった。故に洞穴から脱出し木の実やらキノコやらを見つけ出し飢えを凌ぐことにする。
意外にも森の中だけあって食料はとても豊富だった。たまに食あたりを引き起こし死にそうになったりもしたが人間を食うよりかはマシだろう。
異世界に転生してから数ヶ月が経過し、体も今では成人男性並みの大きさになっている。狩りもできるようになってイノシシ的な獣を狩り肉を食べているおかげか、その他兄弟達と変わらぬ巨躯に成長した。
二度目の人生だ。
あの日のような空虚な日々にしないよう私は努力の鬼となることを決めている。
まずはこの弱肉強食の世界を生き抜くために努力をしようじゃないか。
私は木でできた槍をイノシシに向け投擲する。
『レベルが上がりました。9→10へ上がり進化が可能になりました。進化先を提示します」
頭の中で無機質な声が響き渡ると目の前には半透明の板が浮かび上がる。まるでSF映画に出てくるホログラムのように進化先の種族が板の上に形成される。
コレははじめての狩りの際、獣を殺した時起きた現象でこの異世界にはレベルというシステムがあるらしい。
まるでゲームのようだがレベルが上がると筋力がついたり体が軽くなったりと身体能力が向上するのである。
[進化先]
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「鬼人一択だな」
普通の生活をしたい私にとってほぼ人間と同じ姿になれる鬼人が最良の選択である。人に紛れて生活する際、ツノは帽子とかで誤魔化せるだろう。
さぁ、進化の時間だ。
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