第4話 無機物ダンジョン

「苔しか食いもんがねえ!」


恐らく今の主食であろう苔を食い散らかしながら私はダンジョンを進む。


味覚無いから食べるのは何でも良いんだけど身体を維持する為に苔を食う。


本能に従って食ってる。多分食わないと体が縮む筈だよ。


あれから何日経ったんだろうか、私の鋭いカンでは一週間位経ってると言っている


適当だ。私の体内時計は全く当てにならないからマリナは参考にしない様に


ダンジョンを彷徨いながら上へ下へ右へ左へとウロウロウロウロ


下層は生まれた?場所から三階程降りてみたけど出てくるモンスターの傾向的に更にカチカチ感のコッチコチ感があって勝てない・食えない感じのモンスターしか出なさそうなので引き返したよ。


私のスキルは通常の行動で成長してくれる。


順調だ。


私がクソ雑魚過ぎてカチカチのゴーレムを倒せないって事以外は


日々の鍛錬でスキル生えたからお披露目しようと思います!


『わー!パチパチパチパチ!』


私のニュースキルそれは……


ステータス

宝生マリノ

スキル:【鑑識眼】継承 ノンアクティブ

    【軟体】【同化】【分離】

  NEW【怪力】【触診】


残念ながら渇望していたマップスキルは生えなかった。


【怪力】を得られる事からして私は筋肉ムキムキフィジカルエリート路線っぽい!

力試しに小さめのゴーレムに怪力使って攻撃して見たけど硬すぎて何も起こらなかった。

悲しみ……


【触診】は触れた物の形状や内部構造をハッキリ理解する事が出来る便利スキル。今まで何も見えなかったからとても便利なスキルが生えてくれた。


地面に【触診】するとソナー的な感じでモンスター振動を感知しおおよその場所を把握する事も可能!


このスキルによって無機物がゴーレムと判明したよ!


【触診】さまさまだね〜!


下層の無機物モンスターは触診してないから分からない。もう戻る予定も無いし


私は良いんだ私は、


「マリナ待っててね!絶対血が滴り落ちるモンスター見つけてあげるから!」

『焦らなくていいよ〜スライム生は始まったばかりなんだし。』


そうマリナは言ってくれるけど私はマリナと一緒に成長したい。


私はフィジカルエリートのスライム。日常が鍛錬だ

勝手に成長してしまう。


でもマリナは違う【血液操作】で色々やって戦闘サポートもやってくれるから動作は機敏になり動きがスムーズになったけど根本的な経験が不足していると感じている見たい。


【吸血】だ!吸血鬼なんだから【吸血】が必須なんだ!


もう生まれた地点から五層は上がってるのに出会うのはゴーレム、次に出るのもゴーレム、無機物モンスターしかこのダンジョン出ないんですけど!??


マリナ強くしてあげられないじゃない!


転生させるにしても、もっと肉肉しいモンスターが蔓延る場所に生んで欲しかったと切に思う。


マリナは優しいから急かしたりしないけど私は急いだ。

更に七層位上った所でやっとモンスターに変化が起きた。


小さめなゴーレムの中に正確には分からないけど人型の何かが混じっていたの!


「やった!」


会敵即強襲!!

肉体を輪の様に変化させる


「ここで会ったが百年目!しねぇ!!!」


そして輪に【怪力】を乗せて一気に収縮締め上げる!


やったか!?


ってこれは駄目なフラグの台詞!

なんで言っちゃうの私は……


それにしても手応えが無さすぎる。


でも何かが私に流れ込んでる……


「なんか入ってくるね。これ経験値って奴?マリナは感じる?」

『ちゃんと感じてるよ』

「良かった。マリナのサポートあるから行動にキレがあるね」


ふふん!とマリナの喜色を感じる。モンスターを倒すと二人とも経験値入るのはとても良い情報だ。


雑魚でも私とマリナの糧となる。


「早速【吸血】してみて!」

『分かった〜【吸血】』


……


……


吸血が発動した雰囲気は、無い……

何故なんだろう……


『コレは多分人間じゃないね。吸血する血が無いから【吸血】が発動して無いんだと思う』


ガッカリだ……私を期待させるだけ期待させておいて


『それにしても確認もせず速攻で攻撃したけど人間だったら死んでたよ?』


「人間でも問題無く攻撃してたよ。そもそも魂保護されるから誰か回収して復活させるだろうし、多分」


今はマリナの成長が最優先!


『私達はもうモンスターだから人間は襲っても良いと思うけど私は可能ならクズを優先的に殺りたいかも』


「理由は何かあるの?」


『将来的に地上に戻って人に紛れて生活したいし、貯めに貯めた財産消化しないの勿体無いと思うから最低限の人間らしさはまだ維持していたい』


確かに少し早まったかも知れない。


『あと好きなダンジョンアタック配信者に出会ったら殺したくないじゃない。寧ろ陰ながら応援したいでしょ?』


真っ当な意見過ぎて眩しい、こんな素晴らしい考えを持つ妹が誇らしい!


「お姉ちゃんが間違ってたよ!今度から殺す人はちゃんと選ぼうね」


『じゃあマリノこれに【触診】使って調べて見てよ』


マリナも興味津々なのか促してくる。


私は身体を【軟体】で変化させる。


数百本近くの長く細い肉糸を作り出し破壊した何かに伸ばす。


「【触診】」


調べるのは一瞬で終わる。


元々鑑定系の能力は【観察眼】持ってるけど【触診】は観察眼とは別に便利なスキルだ

観察眼と併用した時の相乗効果が期待出来ると思うので早くアクティブにしたい


「これスケルトンだね!どうりで脆いと思った」


『やっぱりねー人型で血が吸えないって人間以外だとスケルトン系位しか無さそうだもん』

『スケルトンの残骸にまだ魔力が残ってそうだから【捕食】してしまいましょ』


食う感触は苔も骨も変わらない様だ。

身体に取り込むのは数秒で終わった。


「食った後に言うのはなんだけど。私は筋肉っぽいスライムって感じでマリナは血のスライムでしょ?」


『そうだね!』


「ならスケルトンの骨を集めて【軟体】でくるめば私達の芯代わりに出来そうな気がする!」


『さすがマリノ!天才だね!それなら人型で走ったり戦ったり出来そう!』


善は急げ!!!


さあ!スケルトン狩りの時間だ!!!!!










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る