2024 12/16
202412/16 現在
2024年も残すところ少なくなってきた。
私がこの書き損じのために筆を走らせるのは、実に二年ぶりとなる。どうして今更二年越しに筆を握ったのかというと、他でもない。
「生きていますよ」と言わなければならなかったからだ。
私は自分の書いた文章が好きだ。常にその文章は、祈りだからだ。切実な願いがこもっているからだ。そしてその祈りは、こと直接自分の話をしている小説ならば剥き出しなだけにさらに根強い。要するに、私のエッセイは面白い。
であるから、折に触れて、私の苦悩の時代に「書き損じ」とまで称された書き散らしたちのうち傑作を掻き集めて小説サイトに投稿するまでに至った。のだが……。
流石私の青の時代と言える思春期に書かれた作品群だけある。暗い。すぐ死と生の狭間で揺れ動く。すぐ酸素と喩える。すぐ切望を諦めようとする。──諦めようとしても諦めきれないのが当時の私を最も苦しめたのだが、それは今となっては過ぎた話だ。
そんな訳で、その作品群は読んでいて面白くはあるが、それだえでお出しすると読者を不安にすることこの上ない仕上がりだった。
故に私は少なくともこの話で死の欲求を過去にして、この物語を完結させることで読者に報いねばならなかった。そうしなければ、この小説たちは安心してお楽しみいただけない。
そのため、生き損じ、書き損じ。が安心安全無味無臭無害無秩序のコンテンツとして営業していくために、今このタイミングで、私はどんな話を書けばいいのかということを考えた。
寒過ぎる上併設トイレ部分に排水溝がなく、水捌けがこの世の終わりのような寮のユニットバスか?
今年の六月頃に大学近くの寮で初めて親元を離れ、一人暮らしの寮生活を開始したことか?
アルバイト先でレジのお金の管理を誤ってチーフからの信頼を地に落としたことか?
量産したアクリルキーホルダーを丸亀製麺のうどん札をまとめるために使っていて思いの外便利ということか?
今年に入ってひたすらお茶・ジュース・酒など液体ばかり買う日々が続いているということか?
親に言わずに自分の貯金から三十三万出して公務員試験対策講座に入ってみたものの、勉強は遅々として進んでいないということか?
今年に入って洋式トイレの水の中に二回も鍵を落としているということか?
サーモンランが楽しいということか?
やっぱり自炊が一番ということか?
私は頭を悩ませた。その結果、言えることは一つ。
私にはこれから書ける愉快な話がたくさんある、ということだ。
近頃は、小説を四つ書いた。
書き損じ、生き損じ。 刻壁クロウ @asobu-rulu
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