7/23 ライトグリーンの小靴
道の真ん中に、手のひらにすっぽり収まるくらいの小さな靴が落ちていた。ライトグリーンを基調として、靴の中や飾りをパステルイエローで統一した、いやに爽やかな色合い。それが……何と表現したものか、謂わば、歩行者道路と歩行者道路の切れ目。広い一本道から抜けて路地裏に入る、車の通行路に片っぽだけぽつりと置き去りにされていたものだから一瞬嫌な想像が過った。それもあまりに長閑な車通りと呑気な蝉の声に掻き消され馬鹿らしくなったが、事件が起こっていなくとも、この靴のこの位置取りはあまりよろしくはなかろう。そう思い、一度は通り過ぎたものの、思い直して人差し指に小さな靴を引っ掛けた。泣き別れたもう片方と、再開していれば良いのだが。そう思いながら、道の小脇に置いたあの小さな靴に思いを馳せている。
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