第10章: 魔王との決戦

夜明けと共に、作戦は開始された。

アリアとエリックが正面から魔王軍の注意を引きつける中、はるかたちは城の裏手へと回り込んだ。


「リアリティ・シフター、起動!」


リノア、だみん、はるかの三人が詠唱を合わせると、空間が歪み始める。

魔王城の一部が、まるでデジタルノイズのように揺らぎ、崩壊していく。


「警報だ!」「何が起きている!?」


魔王城が崩壊する中、魔王が姿を現した。

漆黒の装束に身を包んだ巨大な存在が、空中に浮かび上がる。


「よくここまで来たな。だが、もう終わりだ。」


魔王の一撃が放たれ、リノアとだみんが吹き飛ばされる。


「みんな!」はるかの叫びが響く。


城は半ば崩壊し、仲間たちは倒れ、魔王が目前に迫る。

絶体絶命の状況の中、はるかは最後の賭けに出る。


「プログラム・コンバージョン!」


はるかの体が青い光に包まれる。

彼女は、自身の持つ全ての知識と力を一点に集中させた。

プログラミングの論理性と魔法の神秘性が、完全に融合する。


「なっ...何だこの力は!」魔王が初めて動揺を見せる。


その時、倒れていた仲間たちの体が微かに光り始めた。

はるかの力が、彼らの残り僅かな魔力を呼び覚ましたのだ。


「みんなの思いを、一つに!」


仲間たちの魔力が光の糸となって、はるかの元へと集まっていく。

全ての力が一つとなり、究極の魔法が完成する。


「フルコード・リアライズ!」


純白の光が魔王を包み込む。

魔法とプログラミング、そして仲間たちの思いが混ざり合い、絶大な力となって魔王を打ち砕いた。


「バカな...こんな力が...」


魔王の最後の言葉と共に、城全体が光に包まれる。

次元の歪みが修復され、世界の均衡が戻っていく。


光が収まると、そこには疲れ切った仲間たちの姿があった。

全員が生きていた。


「私たち...勝ったの?」リノアが弱々しく問いかける。

「ええ、勝ったわ。」はるかは涙を浮かべながら答えた。


世界に平和が戻り、次元の均衡も回復した。

はるかは仲間たちと共に、静かに朝日を見つめる。


「さあ、帰りましょう。」はるかが言う。

「でも、これからも時々は会いに来てもいい?」


リノアとだみんは笑顔で頷いた。「もちろんです!」


こうして、はるかの異世界での冒険は幕を閉じた。

しかし、これは終わりではなく、新たな始まり。

二つの世界を繋ぐ架け橋として、彼女の新たな物語が始まろうとしていた。

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