第9章: 現実世界仲間の援軍

魔王城への潜入作戦を前に、突如として異変が起きた。

はるかたちの隠れ家の上空に、見覚えのある青い光が出現したのだ。


「この光は...まさか!」


はるかの予感は的中した。

光の中から二つの人影が現れ、地上へと降り立つ。


「はるかさん!やっと見つけました!」

「お待たせしました!」


リノアとだみんの姿に、はるかは思わず涙ぐむ。

二人は実験の失敗以来、はるかを探す方法を必死で研究していたのだ。


「どうやって私を見つけたの?」


「私たちの実験が生み出した次元の歪みを利用して、はるかさんの魔法波動を追跡したんです。」リノアが説明する。


「そして、ようやく安定した転移魔法を確立できました。」だみんが続ける。


二人の到着は、戦況を大きく変える可能性を秘めていた。

リノアの皮膚科学の知識とだみんの錬金術は、

この戦いでも十分に活用できるはずだ。


「二人とも、私たちは今、重大な作戦の準備中なの。」


はるかは手短に状況を説明した。

魔王の脅威、レインの裏切り、そして明日に迫った潜入作戦のことを。


「私たちにも手伝わせてください!」

リノアが即座に申し出る。

「はい、力になれることがあるはず!」

だみんも同意する。


三人は早速、新たな魔法の開発に取り掛かった。

リノアの科学知識とだみんの錬金術、そしてはるかのプログラミング魔法。

三つの専門性が融合することで、驚くべき発見が生まれる。


「これは...!」


彼女たちが生み出したのは、「リアリティ・シフター」と名付けられた新魔法。

現実世界の法則を一時的に書き換えることができる、革新的な魔法だった。


「この魔法があれば、魔王の城でも...」


作戦会議が再び開かれ、新たな戦略が練られる。

リノアとだみんの参加により、計画はより精緻なものとなった。


「私たち三人で魔王の注意を引きつけます。」

リノアが提案する。

「その間に、他のメンバーが城の核心部に潜入する。」

だみんが続ける。


はるかは頷く。

「そうね。三人の力を合わせれば、きっと魔王でも油断するはず。」


夜が更けていく中、最後の準備が進められた。

明日の決戦に向けて、全員が自分の役割を確認し、装備を整える。


「はるかさん、」リノアが声をかける。

「私たち、必ず成功させましょう。」

「そして、全員で無事に帰りましょう。」

だみんが付け加える。


はるかは二人を見つめ、強く頷いた。

「ええ。必ず。」


夜空には満月が輝いていた。

はるかは月を見上げながら、これまでの旅を思い返す。

異世界への召喚、チート能力の発現、仲間との出会い、そして裏切り。

全ての経験が、明日の戦いのために必要だったのかもしれない。


「この戦い...きっと勝てるわ。」


はるかは静かに呟いた。

魔王の城で、全ての真実が明らかになる。

そして、この世界の運命が決まるのだ。


「さあ、みんな。少し休みましょう。明日は長い一日になるわ。」


全員が頷き、それぞれの持ち場に戻っていく。

夜風が静かに吹き抜ける中、はるかは最後にもう一度、作戦の確認をした。


明日の夜明けと共に、彼女たちの最後の戦いが始まる。

その戦いの行方が、二つの世界の未来を決めることになるのだ。

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