第15話 ゴブリンキング

 ――扉を開けるとそこには大きな影があった。


 次第に部屋が明るくなっていって現れたのはゴブリンキングだった。


「でっか!」


 俺の身長の五倍はある大きさだ。実際に見ると迫力は凄い。

 流石ゴブリンキングだな。俺がそう思っていたらゴブリンキングは早速持っていた武器を大きく振りかぶって振り下ろしてきた。


 さっきのファストゴブリンよりも明らかに速い……速いのだが、全然避けられるレベルだ。危険はそこまで感じない。

 俺はその攻撃をささっと避けた後に魔法を放つ。


「"ファイアーバレッド"」


 俺の"ファイアーバレッド"はゴブリンキングに直撃するも軽症だ。

 やはり弱点属性だとしても対してダメージを入れる事は出来そうにないな。倒せない事もないだろうけど時間が掛かりそうだ。

 

 その次の瞬間、ゴブリンキングは再び攻撃をしてきた。

 今度の攻撃は威力は先ほどよりも低そうだが小ぶりで攻撃をしてきた。

 俺はそんなゴブリンキングの攻撃も避けて再び魔法を放つ。


「"ファイアーバレッド"」


 またしても直撃するもやはりダメージは低い。

 

「これじゃあ埒が明かないな……」


 ハイオークと初めて戦った時みたいな感じだ。

 時間をかければ倒せそうだけど……


「まぁ、"EX身体強化lv10"も試してみるか」


 俺はそう思って"EX身体強化"を発動した。

 "EX身体強化"はどのくらいの効力を発揮させるかを自分で変えられるのだが今は初めて本気を出している。

 ゴーレムの時は試せなかったけど今回は全力だ。


 そうしてゴブリンキングは再び俺に対して攻撃をしてきた。


「……」


 俺はそんな攻撃を何故か見て受け止めれるんじゃないかと思った。


 そのまま俺はゴブリンキングの攻撃を素手で受け止めてみた。

 するとその攻撃の威力はちょっと高い場所からサッカーボールが降ってきてそれをキャッチするくらいの攻撃だった。


「マジか……」


 こんなに弱いのか……と言うよりかは"EX身体強化lv10"がそれ程強いのだろう。

 いや、これは強すぎるんじゃないか?一応こいつはストーリー中盤……それも中盤でも後半の方で戦える敵だぞ!?


 俺はそう思い通もゴブリンキングの顔に対して攻撃を試みた。


 そしてゴブリンキングと一瞬で距離を縮めてそのまま殴った。


「……」


 俺がただ殴ってみたらその攻撃を受けたゴブリンキングの顔が吹き飛んだ。


「強くなり過ぎじゃね……」


 正直かなり驚いている。

 まさかゴブリンキングをこんなにあっさり倒せるとは思っていなかった。

 まぁ、"EX身体強化"が無ければこうも行ってないが……

 実際に"ファイアーバレッド"だけで対抗しようとしたらかなり時間もかかりそうだったし。


「流石にチートスキルだなこれ」


 ゲームだと使用したことがなかったので分からなかったがこれはマジでチートスキルだ。

 まぁ、15倍だとそりゃ強いか……俺はスキルを全力で使ってみてそれを実感した。

 

「レベルも上がったか」


 上がったレベルは2だがそれでもかなりいい。

 

「まぁとにかく目的の物を取りに行こうか」


 そう思って俺は足を進めた。


 ゴブリンキングのボス部屋を出て向かいの部屋に入る。

 この部屋はただただゴブリンが存在してただけの空間だがゴブリンキングを倒した後に隠し扉が現れる。

 現れると言っても特殊で、部屋の入り口から見て9時の方向の壁にある凹んだ場所に触れると道が開かれる。


(ゴゴゴゴゴ)


 俺が凹んだ場所に触れると案の定道が出来た。


 そのままその道を進むと光輝いた部屋に続いていた。


「よし!」


 そこには金が沢山置いてあった。

 剣や防具などもあるがそれらは特に強くもないので放置で良い。

 そう思い俺は空間指輪に金を入れまくった。


「これで貧乏生活は終わりだ……」


 慣れて来たとは言えしんどかった。

 でもこれで今後お金の心配をする必要はない。

 おそらくこれくらいの金があれば俺の父親よりもお金持ちと言えるだろう。たぶんだけどな。そのくらいの量だ。


「とりあえず目的も達したし帰ろうか」



 ――俺はその日の夜考えていた。


「準備は整ったな……」


 まだ入学までは三か月あるのだがこれ以上のレベル上げは見込めない。

 ゴブリンキングを倒してレベル上げは出来ない事もないがそんなに高頻度で復活するわけもないしな。雑魚だったらまだしもゴブリンキングレベルになると再度現れるのに時間がかかる。

 これは俺の想像だけど、ダンジョンの魔力が溜まり次第魔物が生まれるんじゃないかと思っている。もちろん繁殖して増える事もあると思うけど、ゴブリンキングレベルになるとな。なので復活するタイミングに合わせて来るって事も難しい。

 ゲームと違って一瞬で復活もしないしダンジョンの仕組みなんて俺には分からないしな。


 それでもまぁ、後三か月俺に出来る事はレベル上げだけなのでとにかく出来るだけ上げれるように頑張ろう。

 と言ってもほとんど上げられないだろうけどな。



 ――そうしてあっと言う間に三か月がたった。


(ステータスオープン)


名前:ハレス・ラヴィ 男

年齢:14歳

レベル:53

適正魔法:なし

スキル:"ファイアーバレッド""EXヒールlv10""EX身体強化lv10"

固有アビリティ:【魔力吸収】


 あれからレベルは53までしか上げられなかったが問題はないだろう。

 レベルで言えばストーリー中盤の後半のレベルだ。

 ぶっちゃけ今の状況だとこれいじょう上げろと言われても無理だ。

 大体これでもかなり運が良かったんだしな。


 序盤のストーリーで危険に陥る事もないステータスだ。

 当然学園に入学した後も強くなることを忘れはしないからその後も大丈夫ろう……その自信はある。

  

 だがまぁ、暗殺者だ。本当にそれだけが心配だ。

 実際に今の俺でも俺の父親には勝てないので自信を持って大丈夫とは言えない。

 仮にそのレベルの人物が俺を殺しに来たら俺は負けてしまう可能性もある。


「一応その時にも備えておかなとな」


 入学してからその時まで時間も少しある訳だしお金もある。

 それだったらアイテムを買う時間もあるし備える事は可能だ。

 勝てなそうな敵だったら迷わず逃げる……これは間違いない。

 死なない事が最優先だ。


「まっ!俺を殺しに来るのにそんな強い人が来るとは正直そこまで思わないけどな……」


 使える攻撃スキルが"ファイアーバレッド"しかないのは心元ないがまぁ、そこらへんは王都に行けばまたスクロールを取りに行けるし問題はないだろう。

 

 適正魔法があれば経験や知識、努力によって簡単にいろいろなスキルが手に入るんだけどな……もちろん才能も必要だけど……

 まぁ、そんな事を今更言っていても仕方のない事だ。


 とにかく頑張ろう……明日には王都に向かうんだ。

 

 一章完

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悪役貴族の無能弟に転生した俺は、破滅未来を回避し自由を謳歌する。 タコタココタ @takotakokota

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ