第5話 リーファ戦争
リーファ戦争、それはリーファ帝国側の商人がシファス王国で起こした騒動が原因となり、発生した戦争の名前である。戦争の名前に、リーファ帝国の名前がなぜついているのかというと、それはリーファ帝国側がこの戦争で勝利したから、という理由ならしい。本当のところは誰が名付けたのかもその理由も誰にもわからないが。
そして、その戦争が起きたらしい。
つい先ほど。
なぜそんなことを知っているのか。
それは、リーファ帝国に戻っていくルズ第一王子の後を魔国のものにつけさせてリーファ帝国で何が起きているか報告をさせていたからである。
この戦争に乗らない手はないだろう。
復讐しよう。この戦争にのって、シファス王国側について。
リーファ帝国側がそもそも勝利してしまったのは、私がリーファ帝国側のその戦争で将の地位についていたからかもしれない。
魔王である今となっては、それなりに強い力を持っているみたいだし、99回もリーファ戦争を体験しているので、かなり有利である。
つまり、勝てない要素がない。
あとは、シファス王国からの救援要請を待つだけである。
救援要請は必ず来るだろう。
なぜなら、リーファ帝国と魔国が貿易をやめたことを知っているからである。貿易をやめた=仲が良くないということを意味する。それに、魔国の者は魔力が多いものがかなり多く、かなり戦闘力がある。
これは、救援要請をしないほうがおかしい。
あと何日で来るだろうか。
楽しみである。
―――――――
ついに、シファス王国から救援要請が来た。
よっしゃー!
思わずその場でガッツポーズをしてしまった。
「魔王様、そのポーズ、何ですか?」
ガッツポーズを見てラフィスがそう尋ねてきた。
どうやらこの世界にガッツポーズはないらしい。
見たことない、といった感じである。
「元気が出るポーズ。」
「なるほどっ!さすがは魔王様です!」
そんなことまで知っているなんて!といった感じでラフィスが言った。
そして、私の先ほどまでしてたガッツポーズを真似している。
少しほほえましい。
っていうか、ラフィスみたいなイケメンに分類される人がやるとすごくかっこよくみえるんだよね、このポーズ。
っていうか、救援要請の内容見なきゃ。
シファス王国からの救援要請の内容は最低でも100人は救援に来てほしい、お礼は魔鉱石で払う、といった内容だった。
もちろんですとも。
100人魔国出身の魔人が集まれば、戦闘力的には人間がどれだけいても勝てる、といったくらいだ。それほど厳しい戦況なのだろう。シファス王国は。
私自ら行きたいくらいである。
というか、行こうかな。
魔国のことはラフィスに任せて。
数日くらいならいいよね。
よしっ、決めた!行こう!
私はそう思い、救援に行く者たちの名前を書く欄に、自分の名前を書いた。
きっと読んだ人は驚くだろうな。
「ラフィス。」
私は、背後に控えていたラフィスに話しかけた。
「はい、なんでしょうか?」
「少しの間、留守にして、国のことはお前に少しの間任せるが、大丈夫だろうか?」
「ええ、問題ありません。どちらへ?」
「シファス王国とリーファ帝国の戦争に救援として行こうと思ってな。」
「___、本当ですか?人間ごときのためにそんな、魔王様御自ら行かなくても私が行けば__」
「いや、これは決定だ。私は絶対に行く。」
「____、かしこまりました。」
ラフィスはしぶしぶ、といった様子でそう言った。
ラフィスには少し申し訳ないが、これは絶対なのである。
攻略対象やヒロインを殺す絶好のチャンスなのだから。
私の悪役令嬢としての人生、99回とも攻略対象達とヒロインはこの戦争に参加していた。きっと何かの、ゲームでのイベントになっているのだろう。
私は、からすの足に救援要請に対する返事の紙を結び付け、からすをシファス王国に向かわせた。
きっと一時間後には、私の書いた返事に対しての紙がこちらに来るだろう。
自慢だけど、私のからすは速いからな。
そして、一時間後、シファス王国からの文に戦争の詳細について書かれていた。明日には来てほしい、ということだったので、魔国の中で二番目に強い鬼の軍団99名と私でシファス王国に向かうことにし、全員その戦場へ転移した。
――そして、戦争へ参戦したのである。
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