3-① 母の三か条

深谷 舞    出席番号十四番

       テニス部   初等部入学


 朝起きると、向かいのベッドには誰もおらず、綺麗に伸ばされたシーツがあるだけだった。

 同室の有栖川藍は、そういう細かい所にも気を遣う神経質とも言えるほど几帳面な女だ。

朝六時の木琴のチャイムよりも先に起き、朝食時までに髪も化粧もパーフェクトに仕上げている。木琴が鳴っても起きられない私は、同室になって二ヶ月が経った今も、彼女の寝起きを一度も見たことがない。

 私は彼女が大嫌いだ。机の上や窓に並べられたアンティークの置物は、私の陣地にまではみ出している。彼女の好むディフューザーの香りが部屋を包み込み、休日は終始パソコンからクラシック音楽が流れている。中世ヨーロッパかぶれのその部屋は、私にとっては心底居心地が悪い。

 今朝は珍しくまだ日が登り切っていないこの時間に目が醒めたにも関わらず、既に彼女は部屋に居なかった。他の部屋にでも行ったのだろうか。枕元に置いた腕時計を見ると、まだ五時を過ぎたばかりだ。

 部屋の扉を開け廊下を覗き込むと、誰もいない。扉を閉め、どこか寂しい自室に向き直る。

 天井から吹き出る暖房の風が、ゆるりとシーツを波打たせる。まるでベッドに誘うような柔らかい動き。眠ってしまう恐れもあるが、朝食前に部屋に戻ってくるであろう藍に起こしてもらえば問題ない。再びまだ温もりの残るベッドに潜り込んだ。


『人材は効率的に使え』

『不利益が大きいことに手を出すな』

『責任は自分で取れ』

 これは、母の三か条。

 私の母は、高校卒業後すぐに起業した実業家だ。今では日本を誇るカフェチェーンを展開している。そんな母を私は尊敬している。

 大阪の田舎にある小さな町工場の娘に生まれ、裕福とは言えない家庭で育った母。そんな状況を自らの力で打破し、祖父母も今では大きな家で家政婦を雇って暮らせるほど。親孝行のレベルではない。会社が波に乗った頃に私が産まれ、経営に関してうるさく口出しし始めた旦那とは別れた。だから私は父の顔を覚えていない。そのせいか、母は男に対してとても厳しい。そして一人娘の私にも優しく厳しい。

 何があっても、一人でも生きていけるような強い女になれと。

 私が藍を嫌う理由はもうひとつあった。

 母とは違い、なんの努力もせずに手に入れた富にも関わらず、自分自身が偉くなったような振る舞い。丁寧な口調、遠回しで悪気のないような言い方で、外部生を見下している。

 そこらに並ぶ高価な品々は全て親の金で当たり前のように手に入れたものなのに、ただの箱入り娘が周りよりも権力を持ったように勘違いしているのを見ると反吐が出る。

  あの子は、絶対に一人では生きられない弱い女だ。親の権力や周りの世話が合って、ようやく立てる自立しない女。


「舞!起きな!」

 突然大声が割り込んできた。夢を見ていたようだ。現実との区別もつかないまま虚ろに目を開くと、橋本真那が腕を組んで立っていた。彼女は中等部に首席で入学を果たした秀才で、いつも一緒にいる最早家族とも言える存在だ。彼女が今、夢と現実の狭間で私に怒鳴っている。

「むりむり今は起きられへん・・・」

「起きられへんじゃないの!朝食終わっちゃうんやで!」

 イントネーションが出鱈目な関西弁で怒りながら、私を叩き起す。時計は六時四十分を指していた。

「もうこんな時間」

「だから起こしに来てるんでしょ!みんなもうご飯食べ始めてるよ」

 藍が起こしに帰ってくると踏んでいたのにとんだ見込み外れだ。鬼の母さんに怒鳴られる羽目になってしまった。

「ごめんごめんお母さん」

「産んだ覚えありません」

 髪を整えたり顔を洗ったりするのも後回しに、赤いパジャマのまま階下の食堂へ向かうこの半年強でいつの間にかできた定位置にいつもの顔ぶれが揃っている。

「舞のはこれね」

 一番隅に腰掛けた黄色いパジャマの牧野くみが私のいつもの席を指す。ホットサンドとスクランブルエッグ、ソーセージが盛り付けてある。私の苦手なレタスはあらかじめ抜いてあるようだ。彼女はいつも私の分を用意してくれる。

 しかし、コーヒーにミルクと砂糖が添えられていない。溜息をひとつつき、席を立つ。「どうしたの」わざとらしく問いかける青いパジャマの由愛に、砂糖とミルクを取りに行くと伝えると、視界の隅でくみが大きな身体をすぼめた。いつになれば覚えるのだろうか。

 くみは要領の悪い女だ。全てにおいて非合理的な動きをする。無駄に大きなその身体をあちらこちらにうごめかしながら人の邪魔をする。悪気がないとはいえ、その無駄が私の癇に障る。一度の往復で全て完結するような作業を、複数回に分けて人の倍以上の時間をかける。頼んだことは一度で覚えられず、このコーヒーのように何度も過ちを繰り返す。キーボードで「つ」と打つ時に「TSU」と律儀に打つようなところも非効率的で腹が立つ。そこまで面白くないことにも大袈裟にリアクションをとるところも。

 愚鈍な女は私たちのグループに不釣り合いだが、彼女は私に逆らえない。だから、近くに置いておくにはもってこいの存在だ。

 『人材は効率的に使え』というお母さんの教え通りに、私はやっている。

「真那ちゃん、藍は?」

 隣のテーブルの矢代蘭が真那に声をかけた。

「部屋にはいなかったよ?」

 真那が席に座りながら、ねぇ、と私に同意を求めてきた。食堂に藍はまだ来ていないのだという。朝の五時くらいにはもう部屋にいなかったことを伝えると、図書館にでも行って時間を忘れてしまっているのかもしれないと、四条菫が言った。

 七時には食器を片すよう催促されるため、急いで朝食を腹内に詰め込む。見渡す限り、ほとんどのクラスメイトはまだ食堂にいるようだ。

 突然、チャイムが鳴った。

『全校生徒の皆さん。本日、一限目は休講となりました。寮から出ることのないように、指示があるまでは待機をお願い致します。』

 歳のせいもあってか、震えたような副学園長先生の声が食堂に響く。あちこちから歓喜の声が上がった。


 二限目・三限目も休講になり、朝からずっと寮から出ないようにと何度も校内放送が流れた。談話室でいつもの面々と時間をつぶし、いつもは授業を受けているはずの時間に大声で笑い合える特別感を噛み締める。いつもは飲まない、実家の系列のカフェテリアの新作をみんなで飲んだ。六人分のフラペチーノを抱えてきたくみが談話室の扉をノックするのに気が付かないほど、大富豪が盛り上がった。お手洗いに立った慧が扉を開けるまで、誰もフラペチーノのことなんて忘れてしまうほど。

「あーあ、このまま今日一日お休みになればいいのにな」

 杏珠がクッションを抱えながら幸せそうに嘆く。土日はいつもこんな調子なのに、平日というだけでどうしてこんなにも違った刺激になるのだろう。

「くみちゃん座りなよ、なんでずっと立ってんの?」

 由愛がわざとらしくくみに声をかける。気が付かなかった、とばかりに隣のスペースを開けると、大きな体をすぼめて座り込んできた。

 真那が配り終えたトランプを見ると、3・3・5・6・6・8・10・12・12。

 全然いいとは言えない。

「ねえ、大富豪飽きちゃった。ババ抜きにしない?」

「え、」

 由愛が少し嫌そうな顔をした。

「いいけどジョーカー二枚あるよ?」

「じゃあ赤を持ってる人が捨てればいい」

 確かに~と、慧がジョーカーを捨てた。つまり私の案は可決。私はそろったカードを捨てて三枚スタート。

『不利益が大きいことに手を出すな』

 お母さん、私才能あるかも。人を操り不利益を回避する才能。

「くみ、今日一日休講にしましょうって、学園長に言ってきて」

 くみにしか聞こえないような小さな声で言うと、くみはへへへと笑った。冗談に愛想笑いをされたようなやり取りに少しむっとした。私が本気で頼んでいるかもしれないのに、軽んじられたような気がした。

 左手の中指にはめた指輪を、くみの同じく左手の中指にはめられた指輪にぶつける。左手の中指の指輪は《協調性を高める》という意味があると、中等部の時に読んだ占いの本に書いてあった。

 くみは、顔をひきつらせた。


 入学して同じ部屋になったくみは、私たちのグループに自然と入ることになった。誰とでも仲良くなれるのが私の長所だと、母はいつもほめてくれた。

 くみは口下手で、人間関係を築くのが下手な子だったが、私は気に入っていた。気に入っていたというと上から目線に見えるが、その時は本当に対等な関係で、彼女のことを好きだった。

 親の七光りが傲慢に振る舞うことに腹が立つ私は、内部生や外部生という垣根を気にしない友達作りをしていた。慧や杏珠も自分の家柄を鼻にかけないから好きだし、主席という肩書と同時に裕福ではないというレッテルもついてくる中等部学力入学者の真那とも本当に対等な関係を築けている。友達に、家柄なんて関係ない。

 しかし、この関係を崩したのはくみの方だった。夏ごろから、部屋の私物が減っている気がした。物に執着がない分、度々なくしものをする私は、自分でどこかに置いてきてしまったのだろうと思っていた。カードキーもよくなくすようになった。プリペイド機能がついているそれがなくなると、寮のブースに入れないだけではなく購買部での買い物もできない。再発行できるまでの間は頼み込んで慧に建て替えてもらっていた。

 しかし、ある日由愛から聞いた。

「舞、物なくしてるでしょ。あれ、くみの仕業だよ」

 偶然私の不在時に部屋に来た由愛は、くみが自分のベッドの下の収納を咄嗟に閉めるのを見たという。青い顔で由愛を振り向いたくみの後ろで一瞬見えたそこには、明らかにくみのものではない品々が詰められていたらしい。

 その日、私はくみを問い詰めた。彼女はあまりにもあっけなく観念し、大泣きして私に謝罪した。ごめんなさい、私を捨てないで、ごめんなさい。と。

 ああ、この子は私に捨てられると思ってるんだ、自分よりも私の方が立場が上だと思ってるんだ。虐げられるべき弱い人間なのだ。それを感じたとき、彼女は私の中で友達ではなくなった。友達は対等な関係でなければ成り立たない。

 彼女が盗ったものは全部彼女にあげた。もう返さなくていいと言った。その代わり、私のいうことは全部聞いて、それで許してあげる。彼女の盗った品々の中にあった指輪を彼女の左手の中指にはめ、そう誓わせた。その指輪はスファレライト、希少石と言われるその宝石の、石言葉は「幻惑」その通り、くみをたぶらかし、盗みを働かせた。スファレライトの由来は、ギリシャ語の『sphaleros』つまり、『裏切者』だ。くみにぴったり。

 同じ指輪を由愛とくみと私の三人で左手の中指につけ、二人には色違いのパジャマをプレゼントした。私たちは仲間だよ、と周りに見せつけるかのように。くみがもう、私を裏切れないように。


 四限目から、授業は再開した。由愛や杏珠が不服そうにしている。

「くみが直談判しに行ってくれんかったからアンたちが悲しそうやで」

 そういうとくみはうつむいた。まぁ、期待など最初からしていないが。

 教室の席に着く。いつもはチャイムが鳴る少し前には大体の生徒が静かに着席しているのだが、今日はみんな浮足立っているのか数人がまだ立ち歩いている。隣の席の成瀬満里奈(マリちゃん)と「あと一時間休みにしてお昼の後からにすればいいのにね」と軽い会話を交わした。

 チャイムが鳴り、担任が入室した。会話がぴたりとやむ。四限目は化学のはずなのになぜ担任なのかな、と小さな疑問を持ちながら、先生の言葉を待った。

 しかし、担任の様子がおかしい。例えるなら三日間眠っていないのかと思うほどのどんよりとした雰囲気が漂っている。違和感を共有するように周りを見渡す。マリちゃんも眉間にしわを寄せ肩をすくめた。

 教壇に立つ担任がようやく口を開いた。震える声が教室に響く。


 ―――有栖川藍さんが、昨夜池の近くで大けがをして病院に運ばれ、先程息を引き取りました。


 血の気が引き、真空空間のように音が消えた。言葉の現実味のなさと、担任の震えの現実味。まだ夢を見ているのだろうか。

 咄嗟に窓の外を見る。中庭の池の辺りで数人の教師がせわしなく動いている。池の上、教室の向かいにある校舎の屋上を見る。もしかして、あそこから?


 脳内に、映像が流れる。

 暗い空を、少女が飛んでいる。彼女は地上へ降ってくる。まるで大きな鳥が飛ぶ力を失い重力に従って落ちていくような。もしくは遠くの飛行機が墜落するような。

 想像の中の彼女の目が、私を捉えたような気がした。遠いはずなのに、幻覚のはずなのに吸い込まれるように表情が見えた。怯えたような、驚いたような、引き攣った絶望の表情。細長い手足を宙でバタつかせながら、頭から落ちている。

 コの字型の校舎の真ん中を飛ぶ白い鳥。

 池の隣で、潰れた。さっきまで宙で暴れていた手足は、マネキンのように生気を失っている。


 息が苦しくて我に返った。手が震えている。

 昨日、私は何をした?藍を消すようにくみに冗談を言わなかったか?手紙を渡さなかったか?

 『深夜一時に屋上』そう書いた手紙をくみに渡して、期待してると囁かなかったか?

 真反対の列の最前に座るくみを思わず見る。俯く彼女の口角が上がっているように見えた。

 ゾッと背筋が凍りつく。周囲の音が遠くなっていくように感じた。

 くみは使えない、要領の悪い女だ。コーヒーに砂糖とミルクを添えることも出来ないような馬鹿な女だ。

 くみは変に度胸のある女だ。人の物を盗むような、犯罪をさらりとやってのけた女だ。

 馬鹿で度胸のある彼女は、私の無茶な冗談を真に受けたのではないか。そんな疑念が頭から離れなかった。

 不安を紛らわせようと、机の中に手を入れる。違和感がある。その違和感の正体を抜き取ると、心臓が止まりそうになった。私がくみに渡した手紙だ。これを捨てて証拠を隠滅しなければ、私に疑いがかかるのは時間の問題だ。

 封筒を開き、中身を確認する。

『お前がしたことを知っている』

 今度こそ、一度心臓が止まった。私が書いた文ではない。丸みを帯びたその文字がそれとは対照的に刺々しい言葉として並んでいる。

 とっさに顔を上げ、周りを見渡した。いまだに藍の死に驚嘆し絶句したり涙を流しているクラスメイト達。

 これを入れたのは誰だ。

 くみは大人びた縦長の文字を書く。くみに手紙を渡したときにいた由愛の文字は特徴的な右肩上がり。二人ともこの手紙の差出人ではないだろう。だとしたら誰かが、あの場面を見ていた?いやそんなはずはない。談話室は他に誰もいなかった。

 では、誰が?


 いつも通り、とは言えない空気の中、三時間だけの授業を受けて部屋に戻る。今日は部活に出る気力もなかった。

 くみを問い詰めたが、いつもの歯切れの悪い曖昧な返事が返ってくるばかりで、本当に関与していないのか、それとも何か隠しているのかわからなかった。

 追求すればするほどに、私の罪を認めるような気がして、しつこくは聞けなかった。

 部屋はまだ、有栖川藍の好きなディフューザーの香りがする。そこにいたのに、と、彼女のデスクから目が離せなくなった。

 藍は神経質とも言えるほど几帳面な女だ。デスクの隅に、今日分の教科書が律義に積まれている。藍が死ぬ前、次の日も当たり前に生きていると信じて用意したものだ。藍が生きていればあったはずの一限目の地理の教科書から順に積まれた冊子。

『あなたのせいだから』

 声が聞こえた気がした。違う、私のせいじゃない。だって私は何もしていない。私のせいじゃない。


『責任は自分で取れ』

 お母さん、これって私の責任ですか?


 消えるはずじゃなかった命を、私が消した。

深谷 舞 Fin.



「ピーチ姫は?」

 正田弥生の部屋に、糸井すずめが顔を出した。

「ううん、出てこない」

 すずめは部屋に入り、弥生が乗っているベッドに腰掛けた。

「有栖川藍、自殺かな?」

 声を潜めてすずめが言う。掲示板で好き勝手に言われていたこと、先日の『便所の落書きを真に受ける方が心が弱いんだよ』という自分の発言を思い出しているのだろう。太腿の上でにぎりしめた両手がかすかに震えているのが見て取れる。

「どうかな。わからないけど、有栖川藍って自殺するような子じゃないと思うけど」

「そうだよね?やっぱり関係ないよね?」

「うん、あの子が掲示板を見てたとは思えないもん」

 弥生のその言葉に、すずめは安心したように息をついた。


「菫ちゃん、大丈夫・・・?」

 保健室に、四条菫と佐々木実音がいる。菫は藍の死を知った後、授業を休んでいた。

 実音が、黙り込んだ菫を心配そうに覗き込む。菫に表情はない。

「なんて言えばいいのかわかんないけど・・・あの・・・」

 元気出して、とも、ご愁傷様、とも言えなかったのか、実音も黙り込んだ。

 沈黙が、二人だけの保健室を襲う。

「実音さん。私最低なの」

 十分ほど沈黙が続いただろうか。それを菫が小さな声で破った。

「え?」

「私、藍が亡くなってしまったのに、悲しめないの」

 顔をあげた菫の目には涙が溜まっている。実音は涙が出ていることを指摘したが、菫は首を横に振った。

「違う。自分の薄情さに涙が出るの。ずっと一緒にいたのに、四年も毎日一緒にいたのに、私、心から悲しめなかったの。先生から聞かされた時、私、その現実を受け止めるよりも先に、どういう反応をするのが正しいのかを考えたの。みんなが納得して自然に思う四条菫の反応はどういうものか、それを考えたの。私、なんて冷酷なの」

「そんなことないよ」

「ごめんなさい、慰めや否定が欲しいわけじゃないの。泣き言を聞かせてしまって本当にごめんなさい。でも、一人じゃ抱えきれなくて」

 菫のとめどなく流れ落ちる涙をスカートが受け止める。実音は何も言えず再び黙り込んだ。

「これはきっと呪いだわ」

 突然菫がかすれた声で呟き、実音は心配と疑問が混ざったような怪訝な顔をする。

「中等部の時に亡くなった、立花春華さんの呪い」

 冗談には聞こえないその言葉に、実音は戸惑う。立花春華が亡くなっていることは、少なくとも外部生は誰も知らなかった。

「立花春華は死んだの・・・?」

 菫は一瞬自分の失言に気づいたようにたじろいだ。しかし、周囲に実音以外いないことを認めると声を潜めて話し始めた。

「中等部の時、立花春華さんは亡くなったわ。屋上から転落して」

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