第2話 学ぶ場所の選択が未来をつくる
高校進学を決めたとき、私は「自分に合った学びの場所とは何か」を深く考えました。中学時代の私は、どちらかと言えば「学校は苦手」でした。友達もおらず、いじめに遭ったことで自分を否定する日々が続き、学校に居場所を感じることはありませんでした。そのため、普通の全日制高校に通うことが想像できず、自分のペースで学べる場所を探すことが第一条件でした。そしてたどり着いたのが、定時制高校だったのです。
当時、一部の親戚や知人からは、「定時制に進むなんて、中学の延長のようなものだ」「ちゃんと全日制に通わないと後が大変だ」と言われることがありました。でも、私は直感的に「ここしかない」と感じていました。学力の不足もあれば、朝起きるのが苦手という現実的な課題もありましたが、何より「無理をして他の場所に行っても続かない」という確信があったのです。
入学してすぐ、私は自分の選択が間違っていなかったと確信しました。授業が夕方から始まることで、朝の苦手意識が薄れ、疲れすぎることなく授業に集中できました。何より、周りの生徒たちの多様性に驚かされました。昼間に仕事をしている人、子育てをしながら学び直しをしている人、体調や家庭の事情で学び直しを選んだ人――さまざまな背景を持つ人たちと一緒に学ぶ環境は、新鮮で刺激的でした。
その中で気づいたことは、「学ぶ場所は一つではない」ということです。全日制高校がその人にとって最適な場所かもしれないし、私のように定時制が合う場合もある。また、通信制やインターネットを活用した学びの形も、選択肢としては素晴らしいものです。大切なのは、自分が「ここなら頑張れる」「ここなら学び続けられる」と思える場所を見つけることだと感じました。
定時制高校では、特に「自由」と「柔軟性」を感じました。授業のスピードは全日制よりもゆっくりで、一つのトピックをじっくり学べる時間がありました。先生たちも、生徒一人ひとりの状況を理解しようと努めてくれました。だからこそ、私は「学ぶ」という行為そのものに集中できたのです。
学びの場所が自分に合うと、学ぶこと自体が楽しくなり、やがて未来を切り開く力になると実感しました。自分の経験から言えるのは、学びに正解はなく、その人に合った「居場所」を見つけることが一番の近道だということです。どの場所で学ぶかは、その後の人生に大きな影響を与えます。私が今こうして学び続ける楽しさを持ち続けられているのは、あの時「自分に合った場所」を選ぶ決断をしたからだと思っています。
つづく。
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