とりあえず書かれた手紙への返信
前略友だち様
不思議なお手紙、誠に不可思議に読ませていただきました。折られた孔雀の羽は、丁寧に直し、1つの赤い種へと姿を変えました。
いつか素敵な鳥となって、またあなたの元へと帰って行くでしょう。
あなたという存在を、私はついぞお見かけしたことがありません。はたまたすっかり忘れてしまっているのか、またはあなたに顔がないのか、あったこともないのか。そのどれかでしょうね。だとしても、たぶんあなたは私のともだちで、私はあなたの真の友なのです。
また夜が過ぎて行きます。
夜はしきりに酸素を吸い、自分の丈を大きく見せようと必死になり、中に含んだ小さな電球を奇妙に並べて見せるのです。フクロウが、ちゅんと一声。すると、空の電球が変な音を立てて切れます。フクロウがしっかりと鳴けるようになったころ、朝の光が大きな火を持って、夜の藍を塗り潰して行きます。
さて、また朝が過ぎ、また穴熊が寝付くころ、
赤い種が赤い葉をつけるときに、この手紙が読まれることを祈ります
あなたの友より
羊の詩集 亜夷舞モコ/えず @ezu_yoryo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。羊の詩集の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます