第23話 獣人のココロ 1/4
パッと見、生き物はいないな。
あの陰鬱とした森と違って、遠くに見える木々の間にはなんかが青白く光っててキレイだ。
空気も透き通ってて癒される。
「……行こう」
「待てい。もう少し景色を見ときたい」
「また?」
「オレの生きがいはこーゆーのなんだよ」
この場にはオレたち以外にも何かがいるはずだ。
木々から離れてるこの場所は敵が襲ってきた時の迎撃に向いてるし、死にかけても扉の先へすぐ逃げられる。
様子を見るためにも、この場でこうしておいた方がいい。
「生きがいなんだ」
「セラートにもあんだろ、そういうの」
「ない」
「でも、世話好きじゃんか」
とりあえず座るか……ってうお!?
すぐ隣にセラートが座って星を眺めてる、かわいいじゃんかッ。
でも寂しそうだ。
「お世話、好きなのかもしれない」
「だったらそれをもっと好きになれッ。オレはオレでセラートが世話してるとこ見るの好きだし? 世話される側だって嬉しいはずだからな」
「……うん。考えてみる」
よし、セラートの顔が少し明るくなった。
考えずに直感でいいんだけど、イヤな思いして一歩引いちまうのは分からなくもないな。
オレも……いいや、いま感傷に浸んのはやめとくか。
「ぎゃあああアッ!」
──この変な悲鳴、森の方からか。
察するに、人間か獣人が何かに襲われてるってとこか!?
「行くぜセラート、悲鳴の主を助けに!」
「うんっ」
武器の準備は問題なし、確か腰に下げてある。
……あれ、なんか眠くなってきた。
そういや弓使いの小屋出てから寝てねェ。
走り着いた場所では獣人が倒れていた。
オレと似たような髪型……格闘家の町にいたのと同じだ。
何かでかい武器で引っ掻かれたのか、背中には大きな三本傷ができてやがる。
「っしゃ、回復魔法……ん?」
何だと!? オレより先にセラートが手から光を放ち、獣人の傷はみるみるうちに癒えていく。
すげえ、傷跡すら残ってないぜ。
獣人はセラートにチラリと目を向けると、四本足で何処かへ走り去っていった。
「行っちゃったな。見覚えはあったか?」
「うん。私とは違う群れだったし、こうなるのは当然」
「仲間になるには時間がかかりそうだな。今日は戻って寝ようぜ……ん?」
周囲から複数の視線を感じる。
なんか唸り声してっし。
アイツに怪我させたのはコイツらか……?
腰に手を伸ばし、鞘から武器を抜き取る。
ってあれ、鞘なんてオレいつから付けて……あ! これ槍じゃねえわ! 勇者から貰った短剣じゃねーか!!!
使わんとこ……。
「まずいぜ。セラート、人形、何か逃げるのに良さそうな魔法はないか?」
「逃げなくても大丈夫みたいだよ」
月のように光る目が一つ近づいてきて、その主の顔が見えてくる。
「見覚えのないソウルだナ。それに女、キサマは我らと同じ種族でありながら、掟を破っタ。どういうつもりダ」
何とも喋りづらそうに突き出た口を動かしてやがる。
先にある黒いあれは鼻か?
でもって全身、青色の毛でモサモサだ。
「人形、コイツは何者なんだ?」
(この見た目は、魔族側の世界にいた生物で間違いありません)
んん、それはそうなんだろうが。
セラートに敵意を持ってるようだし、斬るべきか……?
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