第3話 貸金庫の記憶

 私は各銀行の窓口業務を担当している女性銀行員と顔見知りになっている若いイケメン刑事さんたちに頼んで、最近一か月の間に各銀行の貸金庫を使った顧客リストを出してもらった。

 女性銀行員も若いイケメン刑事さんたちには弱く、

「これは、あなたの銀行の信用にかかわる問題ですから」

 と言われれば、上司の決裁を待つことなく、『ここ一か月の間に貸金庫からものを出したお客様リスト』を出してくれた。


 後は、そのリストにある人たちに直接会って、『○○銀行の貸金庫から○○日に、何か出しましたか?』と聞くだけであった。


 銀行に『〇日に、このお客様が貸金庫から何かを出した』という記録があるのに、貸金庫を借りている人が『〇日に、そのようなことをした覚えがない』と言えば、その日の防犯カエラの映像から「出し子」が特定できる。


 そういう捜査の結果、六人が『そのようなことをした覚えはない』と答えた。


 その内一人は、『貸金庫からものを出した覚えはないが、捜査には協力しない』と述べ、三人は、『捜査に協力する』と言った。

 残る二人は、何と、『私は、その銀行の貸金庫を借りたことがない』と言ったのである。


 間違いなく最後の二人は、BMIを使って、「銀行の貸金庫を利用している」という記憶を消されていたのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る