情熱
麦とお米
月は、太陽に憧れていた。太陽は自分で光り輝くことが出来るからだ。
太陽もまた、月を可愛がっていた。自身の光に真っ直ぐに応えてくれる月が愛おしく思えたからだ。
月は、太陽の炎が好きだった。自分にはない魅力だからだ。
太陽は、月の白い肌が好きだった。平穏と静寂が落ち着くからだ。
月の、太陽に対する思いは、憧れから恋心に変わっていた。
太陽の、月に対する思いは、妹分から恋人に変わっていた。
月は、水星に嫉妬してた。いつだって、太陽の傍について離れないからだ。
太陽は、地球に嫉妬していた。どんな時でも、月から手を離さないからだ。
月は太陽と心を通わせたいと思った。
太陽は月に触れてみたいと思っていた。
月は決心して、地球の静止も振り切って、太陽へ駆けて行った。
太陽は大喜びし、月を抱き寄せた。
瞬間、月は燃えて無くなった。
暗い宇宙で星々は瞬く。しかしこの太陽系では、誰よりも輝かしくも厭に歪んだ笑みを浮かべたのは水星だった。
情熱 麦とお米 @mugitookome
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