第156話

『泣いた?……目、赤くなってる。』





「…うん……沙来の言う通りだった。慧悟さんじゃなかった……顕…司さん……だっ……た……」




『真在子………』





想い出したら涙がまた込み上がって来て………






嗚咽まじりの声をやっとの思いで顕司さんの名前を出す。




沙来はそんな私に何も聞かず、ただ抱きしめて肩や背中を軽く叩くように、さすり始めた。

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