第3話 移住後2年目

さてさて、いろいろと事件の起こった2年目の話。

私が川の法面を草刈りしているのを眺めている不審者がいるのに気が付いた。私らのすることが気になるんやろなーと思いながら、でも何か言ってきたわけではなくてその日は無事終了する。しかし、翌日。田んぼに来ると昨日の不審者の車が近くで止まっている。車の中に人が乗っていて、明らかに私を睨みつけている。でも、何か言いに来るわけでもなく作業に取り掛かった。すると、フェンスをこじ開けてビニールハウスの入り口へその不審者が来た。何ですかと聞くと、お前昨日草刈りしたやろ?水路に水流れてきて草詰まっとんねん、拾い上げろと。初対面の人間にお前なんて汚い言葉を使うなんて品の無さが際立つなと思いながら、拾い上げときますと言ってその場は終わった。しかし、実際に確認しに行ったのだが、水路に水なんて流れてなくて草が詰まっている場所なんてなくて、そのまま放置しておいた。問題があるなら後ほどまた言いに来るだろうし。すると、何日経過しても何も言いに来なかった。当然である。水路に草が詰まっていないからである。何も言いに来なかったのではなくて、何も言えないところを無理してしょーもない輩をかましにきたというだけのことである。結局私らに川の水を使わせたくない田んぼの住人らが嫌がらせをしに来ただけの話である。気に入らないものは徹底的に排除する、まさにザ田舎という感じがした。見ず知らずの人間が田んぼを借り受けたことが本当に気に食わないようで、その一件以降私らを監視し始めることとなるのである。そして、すぐに事件を起こされる。隣の田んぼを管理している住人の娘が父の所有する鉄板1枚が盗まれたと被害届を出し、実際に警察が来ていたが、私らが来る前はこんなことなかった、私らが来てからこんな事件が起こったということで、もう犯人は私になったようだ。しかし、私は当然盗んでなんかおらず、そもそも嫌がらせのために被害届を出したのだから盗まれてもいないのだ。盗まれてもいない鉄板を盗んだということで地域から私を孤立させるという作戦は見事に成功したのである。その一件以降、私が田んぼに到着すると田んぼの地域の住人の車が必ず私を監視しに来るようになった。何時に出発しようが関係なく、私が田んぼに到着して5分も経過しないうちに必ず監視役が見に来るのだ。この一件により私自身ののスマホのGPSを警察が携帯電話会社に照会し常に私がどこにいるのかわかるようになって、私の位置情報を田んぼの地域の人間と共有して私を監視することになったのである。にわかに信じられないかもしれない、ただ私が田んぼに到着してすぐに必ず田んぼの地域の住人の車が来るなんてありえない話である。待ち伏せているときもあれば、奥の方から出てくることもあり、とにかく私の行動を監視しているんだなというのはわかった。田んぼがある場所というのは、集落の奥の奥のような場所で、人通りなど全くないような場所なのに、そんなところを私が来てからすぐに通過するなんて、普通の人間にはできない。田んぼの地域の人間というのは仕事もしておらず、警察と連携して私を追いかけまわして喜んでいるのである。もしかしたら、盗まれてもいない鉄板を必死に探しているに違いない。おそらく1枚1億くらいする鉄板が盗まれたのであろう。パトカー3台も来て私を睨みつけてくるのだから。

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