甘え下手な銀髪先輩様が催眠アプリでエッチな命令した時の対処法

🔰ドロミーズ☆魚住

卑劣! 悪の女科学者! 回避不可能の催眠!

 俺は放課後、先輩に勉強を見て貰っている。


 その先輩は中学2年生であるのだが、彼女は学内でとてつもないほどの有名人であり、その理由が2つある。


 1つ目。彼女は銀髪で、とてつもなく可愛い。

 2つ目。彼女は学年1の大天才であった。


「見て見て見て見て後輩くん! ねー見てってば! 11月末に行われた期末試験、全教科100点! 凄いでしょー? 凄いでしょー! 私を慕う後輩としてなんか言う事があるんじゃないのかな、キミ? んー? ほらほらほらほら!」


「凄いですね、流石は先輩」


「もっと褒めてよ後輩くん!!!」


「あー……はいはい……先輩は凄くて本当に凄いですね……うん……凄い凄い……」


「嫌々褒めないでよ後輩くん!!!!!!」


 まるで自慢でもするかのように満点だらけのテスト用紙を見せてくる銀髪の美少女の名前は首藤しゅどうノエル。


 彼女は俺の1学年上の先輩である。


「……全教科満点か……いや本当に頭いいですよね、先輩……」


「ふふん。当然! 後輩くんは私がどれだけ天才なのか知っているよね? この学年1の成績を有しながらも顔面偏差値トップクラスの美少女なんだよね、私。欠点があるのなら是非とも教えて欲しいレベルの完全無欠の美少女。それが私。天は二物を与えずとかいう言葉を全否定するほどの才媛お嬢様だよ私。何なら両親が東大卒のエリートの愛の結晶! 最近は趣味で株に手を出したり、企業にアプリを開発して提供とかしてる超絶銀髪美少女中学生2年生14歳! これは間違いなく未来の東大美少女だね! 困るなー! 私に告白してくる男子が多すぎて困るなー! 余りにも自分のスペックが高すぎて困るなー!」


「本当イイ性格してますよね、先輩は」


「顔も良いでしょ?」

 

 まるで悪戯をした後の悪ガキを思わせる笑み携える彼女の顔面はまさしく人間国宝のソレ。

 

 可愛さと綺麗さと美人さがバランス良く同居しているとでも言うべきだろうか。

 世界で一番顔がいいのは誰かというアンケートがあれば余裕でランキング上位に組み込みそうな顔面をしているのが彼女だった。


「で? キミの今回のテストの点数は?」


「全教科90点以上取れました。先輩のおかげで平均点が50点ぐらい上がりましたので……本当にありがとうございます。おかげで12月のお小遣いは何とかなりそうです」


「うんうん、よくできました」


 そんな事を言いながら頭をぽんぽんと撫でてくれる彼女に対して思わず気恥ずかしさを覚えてしまい、止めて欲しいと懇願しそうになったが……周囲には誰も居ないので俺は彼女のされるがままになっていた。


 というのも、俺と先輩は何だかんだあって、誰も使わない空き教室を使って、2人きりで俺の勉強を見て貰っている。


 と言っても、俺と彼女は彼氏彼女の関係ではない。

 どこにでもいるような先輩と後輩の関係であって、別に俺は彼女に恋愛感情など抱いてはいない。


 断じて、そういうのは、ない。


「ところで後輩くん」


「はい」


「催眠アプリを開発したから実験体になって」


「え?」


「オラッ! 催眠!」


「――――」


「ふふっ……成功しちゃった……! これで私は後輩くんの彼女に……!」

















 実在するかどうかも怪しい催眠アプリとやらがちゃんと作動しているかどうかは分からないのだが、目の前の彼女がドヤ顔で掲げているスマホの画面は真っ暗であるというのはどうしようもない事実だった。


(あ。先輩のスマホ、充電切れだコレ)

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