10.純愛、故に重愛(造語)
僕たちは付き合ってだいぶ長くなった。
もうすぐ1年が経とうとする。
今後のこととかも少しずつ考えるようになった。人間はエスパーではない。
故に、
思っていることや考えていることはそれだけでは相手に伝わらない。言葉にして形にする必要がある。僕は君と会う度に、
君のことがどれだけ好きか、
君の良い部分がどれだけ本当に良くて凄いことなのかを熱弁していた。マイナスなことを言うならまだしも、プラスなことばかり言っている自分に酔っていたんだと思う。そしてプラスな言葉に相手を強制させてしまうような力を持つことも当時は気づけなかった。あなたにそうあってほしいから声かけていたのではなく、今のあなたがどれだけ素晴らしいかを熱弁していたつもりだった。しかし、自分の良いところを自分自身で本当の意味で理解している人は案外少ないだろう。
ましてや、君みたいに、謙虚で真面目で遠慮深い人間なら尚更だ。君の負担になってることなんてつゆとも知らず、僕は今日も君と手を繋ぎ、地下鉄の改札まで送る。こんな日々が、こんな何気ない日々が自然と続くと思っていた。だから、僕は君を信頼して、さらにもう一段階先へと関係を構築しようとした。実は僕はそんな強い人間ではないんだ……あのね。聞いて欲しい話があるんだ。
今まで見せなかった、僕の弱い部分についての話なんだけど……。
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