1.きっかけの記憶。
僕には大学4年の終わりから社会人1年目が終わる直前の3月までの約1年間だけ彼女がいた。僕にとって最初でそして、最後の彼女である。簡単に惚気ると、彼女は真面目で礼儀正しくて、思いやりがあってノリが良くて面白くて、笑顔が可愛くてえくぼが可愛くて、ご飯を食べる時は美味しい美味しいって何度も言ってくれて、どんな時も周りを気遣ってくれて、誰もいないところで一人で泣いてたりするような人だ。どうだ一瞬で、こんなに思いつくなんて気持ち悪いだろう?(笑)あの1年間は本当に幸せだった。未だに思う。僕は本当に人生の全ての幸せをあの時に味わい切ったと思う……。
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味わい切ったという表現を使った理由はぼくは当時とてつもなく幸せだったから。それを今後、超える幸せを味わえる自信がないから言い切ってしまったのだ。
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色々なところに行った。水族館、動物園、映画館、ゲームセンター、ちょっと良いご飯屋さん。某激安イタリアン。どこも思い出があるが、1番はスーパーマーケットで買い物もせずぶらぶらと商品について話したりすることだった。例えばいつも家で食べているキムチは何か、梅干しは何か、ソースは何か。せーので指差して、同じだったり違ったり。同じだったら共感の嵐、違ったらそれぞれの良さをプレゼンしあう。なんでかわからないけど、それが僕はめちゃくちゃ楽しかった。スーパーに行くと1時間くらいかけてそれを行なった気がする。本当になんでかわからないけど、まだ知らない君のことを少しずつ知っていけるような気分になっていた。すごくすごく楽しい時間が幾度も幾度もあった。きっとそれで満足するべきだった。なんで愛されたいなんて願ったのかな。なんでこれ以上これ以上を、求めてしまったのかな。なんで、今をもっと大事に出来なかったのかな。
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