終章:名刀は滅びず

それは粗雑ではあっても太く厚い身を持っている。例えるなら同田貫。

それは美麗な靭やかさと俊敏な切れ味を見せている。例えるなら備前長船。

どちらがどちらを例えているのかはここの紙幅に寄せまい。読者の想像に御任せしよう。



二人の「太刀」は激突し、激しい音が小屋を揺るがした。襖は弾け飛び、戸板すら切り裂かれる。木造の家は二人の運動に耐えかねて軋み声を上げて、茅葺きの屋根は絶頂を迎えた後の柳のようにハラリと落ちた。


互いの「太刀」が交わる度に血と汗が二人を結び、幾度も互いを組み伏せては絶命には届かず、そして何度も互いを貫いて命を奪い合った。やがて二人の達人は精魂を枯れ晴らし、二人を見下ろし包み込む桑の木の下に同時に倒れ込んだ。


幾日もの日々が過ぎて、今日も瓦解した山小屋を穏やかな朝日が包む。鳥のさえずりが森の静寂を破り、風が桑の葉を揺らす。

すでに二人の死体は山の野良チュパカブラが美味しく召し上がったので、ここに二人の男が命果てるまで戦った痕跡を残すものはない。しかしここで二人の残した遺物を持ち去った者がいる、其れは我等が護廷十三隊が総隊長山本元柳斎重國その人である。遺物の名は二対一振の斬魄刀「我等死セズトモ風評加害ハ死セズ」。かつて霊王の前進を司る左腕と静止を司る右腕を斬り落としたとされる伝説の二刀一振りだ。


一護「なにを…言っているんだ…??」

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ぴのこの恩返し しゅんさ @shunzai3

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