二章:奥の間で結ばれる秘め事
その夜、ぴのこ――と名乗った女性は、がらどんどんの山小屋で言った。
「恩返しってわけじゃないけどさ、アンタに特別な小説を書いてあげる。世界に一つだけの、最高の傑作をね」
「ほう。それは楽しみだ」
「ただし条件がある。私が奥の間で書いてる間、絶対に襖を開けないこと。いいね?」
「なんでや?」
「いいから約束しろ!文句があるなら書くのをやめてこのまま帰るわよ?」
がらどんどんは渋々頷き、ぴのこを奥の間に通した。しばらくすると、居間にはキーボードを叩く音が響き始めた。普段はがらどんどんしかいない家の中に、他人がいる。それが立てる音に、そのリズミカルな音に心地よさを感じる反面、苛立つような不快感も疼いていた。
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