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「加藤望です、よろしくお願いします!」




今日は土曜日だけど年末なので沢山の社員が出社をしているという青さんの会社で自己紹介をすると、オフィスにまばらにいる人達から温かい声と拍手が聞こえてきた。

みんな凄く良い人そうで安心をし、青さんから言われた端のデスクへと数歩、歩いた時・・・




そんなに高くはないヒールの靴なのに、何もない所で転んだ。




いや、いつものように転びそうになった。




そしたら、その瞬間・・・




さっきまで私の隣に立っていた青さんがヒョイっと私のことを片手で抱え、ストンッ─────...とその場に優しく降ろした。




ビックリして青さんのことを見ると、青さんは完璧な営業スマイルで笑っていて・・・




「中学の時の自己紹介だけじゃなく、高校の時の自己紹介でも自己紹介後に転んで、凄く恥ずかしかったらしいからね。」




自己紹介をした後に毎回ホッとしてしまい必ずと言って良いほど転んでいた私。

青さんと鎌田さんへの自己紹介の時もやっぱり転んだ。

でも、私の高校入学以降は青さんと1度も会えていない。

だからその話は直接は青さんにしていない。




「私の“日記”、ちゃんと読んでくれてたんですか・・・?」




聞いた私に青さんはやっぱり営業スマイルのまま。




「高校は結構楽しかったみたいだから安心してたよ。」




その通りのことを返してくれた後、少しだけ悩んだ様子になりオフィスのみんなを見渡した。




「加藤さんは僕の知り合いからお預かりをしている僕の“ほぼ家族”みたいな子でして。」




私のことをみんなにそう言ってくれ、嬉しいような切ないような気持ちになっていたら・・・




「社長の“妹”みたいな感じですか?」




1人の男の人が面白そうな顔で笑いながら聞いた。




そしたら青さんが・・・




「いや、ネコですね。」




私のことを“妹”ではなく“ネコ”だと言った。




私に対してだけではなく、みんなの前でもそう表現をした。




それにはショックを受けてしまった。




ショックなんて受けたくないのに、どうしてもショックを受けてしまった。




みんながクスクスと笑う中で私は泣きそうになりながらも笑い、でも前は向けずに歩き始めた。




そしたらさっきの男の人の声がまた聞こえて・・・




「ああ、社長のお気に入りだから手を出すなってことっすね?」

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