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そんな望みを小さな小さな声で呟くと、青さんはやけに優しい顔で笑ってくれ・・・
そして・・・
「うん、却下。」
即、却下された。
「何でも聞いてくれるって言ったじゃん!!」
「だから聞いただろ?望の“望み”は。」
「この流れ昔もたまにあったよね!?
期待させておいて一気に突き落とすの本当に酷い!!」
「全然酷くないだろ、元気でブスな顔をしながら大喜びしてるようにしか俺には見えない。」
「元気でブスな顔ってどんな顔!?」
「俺、怒ってる女の顔がマジで今でもブスにしか見えない。
で、数秒前より元気にはなってる顔だから、元気でブスな顔。」
「青さんって本当に意地悪!!
だからいつも彼女と長続きしないんだよ!!」
「でも、それが好きなんだろ?」
青さんが急にその通りのことを言ってきて、ドキリとしながら青さんのことを見詰めた。
「お前ドMだから、昔から俺と鎌田(かまた)にイジられて大喜びしてたからな、あいつと一緒に。」
「・・・一平さんはドMじゃありません。」
「あ、その名前は出すな、イライラしてマジで無理。」
「そんなに・・・?」
「あいつ結婚なんてしやがって・・・な?」
私に同意を求めてきた青さんから顔を逸らし、笑った。
「お相手は素敵な女の子だったよ。」
「巨乳だった?」
「それは知らないけど・・・。」
「何食いたいんだよ?」
青さんがそう聞いてくれ、私は勢い良く顔を上げた。
そしたら、見えた。
また意地悪な顔をしている青さんの顔が。
「ただ聞いただけ。」
「もう・・・・っっっめっっっっちゃ意地悪・・・・・・っっっ!!!」
青さんと騒がしく行列に並び、そして・・・
「美味しい・・・・っっ」
「だろ?そこら辺のお洒落な店と比べるのなんて失礼なくらい、ここのトンカツは旨いんだよ!!」
「・・・・そんなこと言って、何でマヨネーズなんですか?」
「ほら、俺って昔からマヨラーじゃん?」
「そうだったけど、まだマヨラーだったの?」
「ずっとハマってる物もちゃんとあるんだよ。」
「そんな邪道な食べ方をしながらドヤ顔されても・・・っ」
初めて青さんと食べた外での食事。
全然お洒落でもなく昔と同じ感じでしかない食事。
でも、やっぱり楽しかった。
こんなお店でもやっぱり凄く楽しかった。
「ぇ・・・・高・・・・・・っ」
青さんがご馳走までしてくれた瞬間に驚きの声を出し、「“こんなお店”とか言ってすみません・・・っ」と謝った私に、「そこまでは言ってなかったのに失礼なことを急に言い出すなよ!!」と怒られた。
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