タイムカプセル、問題児に豆鉄砲【闇堕ち、パソッカ、タイムカプセル】

「ククク……われこそは闇に堕ちたる男!」

「ちょっと男子、ふざけないでー」


 パソッカをかじりながら、委員長が指差した。おれはすっかり興が削がれた状態で、作業に戻った。

 ていうか、パソッカってなんだ。パソッカって。


「説明しよう! パソッカとはブラジルではポピュラーなピーナッツのお菓子のことで」

「うるせー、小鳥遊たかなし! てめーは黙ってろ!」


 ふざけ屋の小鳥遊を拳で黙らせると、またしても委員長が腕組みをしておれを見た。


「ねえ、西条」

「ンだよ、加瀬」

「そんなにクラスの空気乱すのが好き?」

「知るか。おれはな──」

「言い訳無用!」


 こてんぱんにやられる。


「んだよ、タイムカプセルづくりがそんなに大切かってんだ」

「大切だよ。だって……」

「んあ?」

「……」

「聞こえねーって」

「あとで悪い思い出にしたくないじゃない」


 おれはすっかり拍子抜けしてしまった。

 いつのまにか、口を開けていたらしい。そのぽっかり開いた口に、小鳥遊がパソッカをぶち込んだ。甘かった。闇堕ちしてる場合なんかじゃ、なかったのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る