鮮度30%!ほかくちゃん!!

鹿嶋 雲丹

第1話 ことのはじまり

「人に食べてもらうことこそ、君たち食べ物の幸せなんだよ」


「……ほんとにそうなの??」


※※※※※


 S県J村。

 数年前、村人ゼロの廃墟と化したこの土地に突如として現れた謎の研究所【カッシーandうににんラボラトリー】。


 食べ物自体に自我を持たせ、自らの意志でうまみを増やす。


 それがラボの掲げた研究目標であった。


 長年の研究の成果はそれなりにあり、食べ物たちに自我をもたせる事に成功する。だが、やがて


「人に食べてもらうことこそ、君たち食べ物の幸せなんだよ」


 という所長の言葉を


「ほんとにそうなの??」


 と疑問視する食べ物たちが現れた。


 彼らは反発者と呼ばれラボから脱走をはかるが、ことごとく投げ縄名人の所長に捕獲される。


 初めは反発者たちを改心させようとした所長だったが、しかし彼らと意見を交わしていくうちに心変わりし縄をリボンに変え呼び名を【ほかくちゃんズ】に変更する。


 そんな日々の中、突如所長が消えラボラトリーは研究停止状態に陥った。

 あとに残されたのは、どことなくヨボヨボしたアザラシ長老と数名のほかくちゃんズだけ。


 所長はどこへ行ったのか。そして残された食べ物たち、ほかくちゃんズはどうなったのか。

 謎は深まるばかりである。

 だが、そもそもこのラボの存在自体が世間に興味を持たれていなかったのでこの消滅の謎も特に世に知られなかったのであった。


※※※※※


 今日も【カッシーandうににんラボラトリー村】では、アザラシ長老とほかくちゃんズが元気に走り回っている。

 次回はこの村に潜入取材し、村人の様子を皆様にお届けしたく思う。

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