夏だけ…
毎年夏になると、必ず近所にある学校の物置から変な音が鳴り響く。
それは決まって、犬の散歩の時に聞こえるのだ。時間は特に決まってない。朝早くからの時もあれば、夕方の時も、夜の時もある。
これの怖いところは、全く風が吹いていない日だけ聞こえるのだ。
風が吹くと木の葉っぱが揺れる音だったり、何か物が落ちた音だったり、何らかの音がするのだ。
しかし、小学校の裏にある物置から聞こえる音は風のない日に聞こえてくるのだ。
さて、話を戻そう。
時々、母と一緒に散歩へ行くのだが、母には聞こえていない、聞こえるのは私と犬だけである。
ある日の朝。私はいつも通り犬の散歩に出かけていた。散歩コースには必ず小学校の前を通らなければならない。
駆け足気味歩いていると、
コンコン。
コンコン。
その音は次第と大きくなっていく。
ガシャン!!
ガシャン!!
何かが割れた音。
何かが落ちた音。
犬はひどく怯えている。
何の音なのか知りたくて、小学校の裏門から覗いてみたが、やはり物置には何もない。誰もいない。
ガタンガタンガタン!!!!
その音と同時に黒い人影が見えた。
これはまずい。
流石に危険だと思った私は、リードを強めに引っ張り、犬と一緒に爆走して、家に帰った。
この体験を家族に話しても当然、信じてもらえるわけなく。
あの音を知っているのは、私と犬だけ。
そして、今は冬。
冬の散歩にあの音は聞こえない。
私は思わず小学校の裏門から覗いた。そこには何もない。誰もいない。
けれど、ふと、
コンコンと低い音が響く。
まるで私たちをあの世に誘うように。あの音は今も響いている。
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