隣に座る女
みなさんは「金縛り」というものをご存知だろうか。
最近、科学的視点から「金縛り」は存在しておらず、睡眠に関係があると証明されつつある。だが、私にはどうしても科学では説明しきれない部分がこの「金縛り」なのではないかと思う。
体験したことがある方はいるのだろうか。
私はたくさんある。
多い時は週に3回。真夜中にトイレでも暑さでも寒さでもなく、ふっと目を覚ます。夢ではないと感覚的に分かるのだ。
身体が動かない。でも、目だけは動かせる。そのような金縛りに私はよく遭遇する。
けれど、不思議と恐怖はなく、慣れてきて「あぁ、また金縛りか」と目を閉じて再び眠りに落ちる。
そんなある日、私はウトウトしてしまい、絨毯の上で寝てしまった。
しばらくして、何かが私の腕に触ってきたような気がした私はそっと目を開けた。
動かない。
また金縛りか、と思った私はいつものように目を閉じようとした。そこでふっと思ったのである。さっき、私の腕を触ったのは誰だ?と。
さらに首が少し動くのではないか。いつもと違う金縛りに、私は不審に思ったのである。
その時、右から何らかの気配を感じ取り、ゆっくりゆっくりと、首を右のほうに向けた。
そこには、女の人が座っていたのである。それもまた不思議な光景で。
カーテンは閉まっており、当然光が部屋に差し込むわけがない。しかし、その女の人は光っていたのだ。私は首が動けなく、意識もぼやけていたせいか、顔は見えなかった。
わかることは二つ。
一つは光っている女の人だということ。
もう一つは右側がとても温かったこと。
気のせいかもしれませんが、その女の人は私に笑いかけてきたような気もしたのだ。
気がつくと、私はいつのまにか再び眠りに落ちていた。目を覚ますと、体は自由に動き、慌てて右の方を見るともうそこに女の人の姿はなかった。
母に「ねぇ、さっき私の部屋に来た?」と聞くと「行ってないわよ」と怪訝そうな顔で答えた。
「どうして?」と聞かれたので、私はこう答えた。
「知らない女の人が私を起こしてた」
母は「まさか!夢じゃないの?」と笑っていましたが、夢じゃないと私は確信していた。
ーーーーまだ腕に残る温もりを感じながら。
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