カラオケ
一般人。
第1話
困った時に行くカラオケ。個室でただ歌うだけの時間。友達が歌う曲に相槌を打つように体を揺らす。自分の番が来てしまった。声が裏返ったらどうしよう。友達がこの歌を知らなかったらどうしようと頭がいっぱいになりながら恐る恐るマイクに手を伸ばす。歌い始めズレたら最悪だ、と思っていたのにイントロが短い曲を選んでしまいしっかりも最初がズレる苦笑いをしながら歌い続ける私に目もくれずスマホいじる友達。意味が分からない。曲を考えるならまだしもチラチラと見えるLINEの画面。今あいつは誰とやり取りをしているのだろうか。私のことをどう思っているのだろうか。こういったストレスが多くてほんとに中がいいやつ以外とはカラオケに行きたくない。初めて一人カラオケに行ってみた。受付は特に何も無くすんなりと通れる。別に店員の視線は今日は気にならない。なぜならこれからストレスフリーのカラオケを楽しむのだから。楽しみに前もって予約をし2時間コースでぶん回すぞと意気込みながら好きなバンドの曲を入れていく。1時間ほど経って満喫してる最中にかかってきた電話。出るとなんとも言えない声色で「すいません。今店内が混みあって降りまして、1時間早いですが退出していただけますか」なにをいってるんだこいつは。だが断れる訳もなくいやいや返事をして片付けを始める。他の客も同じような対応をしているのかレジへ向かう途中チラチラと部屋を見る。あほづらな上、外まで聞こえる大声で歌う太った男。部屋の隅でキスをし合う気色の悪いカップル。どの部屋を見ても帰ろうとしてる客は俺以外見当たらない。レジに着くと気だるそうなクマだらけで細身の男が接客とも言えない接客をしてくる。横では酔っぱらいの対応をしながら小太りで汗臭い男がペコペコと頭を下げている。こいつは何が楽しくてこのバイトをしているのだろう。俺には到底理解できない。会計を終えて外へ出た瞬間に返された怒りを思い出す。何をしても上手くいかない。ほんとになんなんだ。
カラオケ 一般人。 @ippanzin__
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