合同制作 掛け合い

@eight06167

「想月の那」(そうげつのふゆ)

A「じゃあ、改めまして...バイトお疲れ〜!」

B「うん、お疲れ。」

A「いやぁ、流石に8時間ぶっ続けはきびいな」

B「実はさ、冬休みの間全部この時間でシフト組んじゃった...。」

A「え!?うーわおま、マジで!?」

B「うん。マジ。」

A「まぁそっちのバイト忙しそうだしなあ。」

A「あ、てか、瀬那ってあの店の看板娘かなんか?」

B「...はあ?」

A「やだって、前俺が店に行った時も、ずっと客に呼び止められてたじゃん。」

B「それはたまたま...」

A「...なあ瀬那、なんでそんな自信なさげなの?」

B「...」

A「急になんだって感じかもだけど。瀬那って顔も可愛いし、芯があるやつだし、なんでいつも不安そうな顔してんのか疑問だったんだよね」

B「...君は輝いてるじゃん。」

A「うん?」

B「太陽ってよりかは月。暗闇の中でみんなのことを照らすような存在。

私は醜いすっぽんだからさ。」

A「そんなことないだろ」

B「そんなことあるよ。」

B「私たちは月とすっぽん。見た目や言葉で武装しても、本質は変わらない。私の心は醜いままなの。」

A「...月って別にそんな綺麗なものじゃないぞ。」

B「えっ?」

A「知ってるか?月の裏側ってさぁ、クレーターでボコボコなんだよ」

B「...」

A「お前が思っているよりは、綺麗なものじゃ無いんだ。裏側なんてボコボコなんだよ、醜くて…見せられたもんじゃない」

B「そう...なんだ...。」

A「だから、俺とお前はおんなじ。」

(空に浮かぶ月を指差す)

A「ああやって見れば、綺麗なんだけどな」



B「でも。月のクレーターって、隕石から地球を守るためにできた痕でしょ。

あなたの優しさだってそうじゃないの。」

A「ハハッ...」

A「そうだといいけど。」

B「ねえ、中学校の時の事覚えてる?」

A「ん?あぁ…まぁ…?」

B「私が、友達の彼氏奪ったってデマ流された時。」

A「あーーー、坂田が流したやつか」

B「そう。」

A「いやー…ありゃ酷いデマだったよな、意外と皆信じてたせいで結構長かった、あんときのお前、なんか顔死んでたもん」

B「覚えてないかもだけどさ。あの時、唯月が言ったんだよね。」

B「瀬那はそんな事する奴じゃ無いって。」

A「…どこで?」

B「放課後、2の3教室の前で。」

A「あー…はっは…確かにそんな記憶あるわー…」

B「結局事は収まらなかったけど。それでも、一人でもそう言ってくれる人がいて、私は救われた。」

A「別に嘘はついてないし…頑張ってる奴がそんなこと言われるの、なんか、癪だろ」

B「ふふっ。そういうとこ。」             

A「…あっそ」

A「なあ。こうやって、バイト帰りになんとなく喋ってさ。」

B「ん」

A「二人で一緒にいる日常がいつまでも続けばいいのに、な。」


A「ま、お前となら月を見るだけでも楽しいけどねん」

B「ふふっ。ねえねえ、唯月。」


B「月が綺麗だね」

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