第3話 サイド小町

 茉莉ちゃんは、悲しんでいるだろうか。


 今日のことを思い出す。

 忘れられないことと共に。


 似た思い出がある。忘られない思い出だ。

 今日みたいに唐突に告白された。その子のことは友達としか考えたことなかったけれど、断ったら友達としてやり直すこともできないだろうなって思って、だから付き合った。

 初めてのお付き合いだったけど、思っていたより楽だったなぁ。友達のときと変わらないこともあったし、もちろん変わることもあった。……変わったことも、嫌じゃなかった。

 いつからか覚えていないほどゆっくりと、曖昧だった気持ちは、明確になっていた。

 あの子も、最初は純粋な友情だったはずだ。私と同じように、ちょっとずつ変わっていったのかな。


 茉莉ちゃん。ごめんね。

 本当は、好きなんだよ。大好きなんだよ。「ちょっと待ってね」なんて言わなくても、すぐに答えは出てるんだよ。

 

 でも、怖かったんだ。もし、その気持ちを伝えてしまったら、茉莉ちゃんが消えちゃうんじゃないかって。

 全部、思い出しちゃうんじゃないかって。

 

 そうなったら、もう。

 我慢ならないよ。

 

 

 

 

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