美しい鳥籠
ぷはっ! はあっ!
レナトスとルキウスは、麻袋から解放されて、
麻袋を持った女たちが、去って行く。
「はい、お疲れさま」
目の前には、かしこまった印象の女性がいる。
外は明るく、広い空間だった。
「こわい思いをさせて、ごめんなさいね。あなたたちを守るためには、仕方がないの」
レナトスは、女性の
彼女が言うには、ここは、男性を保護する施設で、道に迷ったり、
「ここには、必要なものはみんな
彼女は、
「レナトス・アトランティウス、男性、二十三歳、黒髪、
自分たちが答えた以外のことを
「これはね、身元を特定するには必要なことなの」
それから彼女は、木の板のような物を持って、立ち上がった。
「さあ、立って」
彼女の
「これから、身長を
彼女は、
彼女は、記録を取ると、今度は、ルキウスにも同じことをして身長を測った。
「はい、ご苦労さま。これでおしまいよ」
「待ってください、あの…」
レナトスが、思い出したように言った。
「なあに?」
「私の
「それなら、
「よかった!」
レナトスは、自分たちが連れ去られてから、
「
「わかったわ、聞いてくるわね」
彼女は、
「これで、なんとかなるでしょう」
レナトスは、ルキウスに向かって、元気づけるように言った。
ルキウスの立場はわからないが、少なくとも自分の身分が明らかになれば、この
今まで、どんな国でも効力を発揮した、デメトリア王国の紋章は、このアマゾーン国でも、威光を放つに違いない。
レナトスは、確信した。
先の見通しが立って、気分が落ち着いたのか、レナトスは、施設の探検を始めた。
この部屋は、白い壁が、高い天井まで続いている。部屋そのものは、廊下のように長く、
「ルキウス!開けてみましょう!」
「相変わらずだな、お前は」
そこは、別世界だった。
白い廊下のような部屋とは打って変わって、この部屋は、華やかで豪華な造りをしていた。
扉を開けた先には、
「おお…これは!?」 「まるで、街のようですね…」
それは、レナトスが、はじめてアマゾーン国を訪れた時、さすらった街の
「…お
この部屋の、数ある
「…ほう、デメトリア。世の中には、たくさんの国があるものだ」
レナトスとルキウスは、テーブルを
「それにしても、災難でしたな。でも、
「
レナトスが、聞く。
「私は、彼女たちから、優しく馬車に乗せてもらったんだが。お前さん
レナトスが、
レナトスは、他にも、気になることがあった。
男性は、今まで
街や村の人々が、簡素な布の服を着ているのに対して、男性は、色の付いた長い上着を着ていた。
レナトスは、少し、ルキウスの服と似ていると思ったけれど、何より気になるのが、男性が身に付けている
男性は、首から
「…ああ、これかね」
男性は、レナトスが自分を見ていることに気づいて、胸のペンダントを手に取った。
「これは、市長の家紋だよ。私は、代々、市を治める家の“夫”なんだ」
男性が言うには、“結婚”した男は、特別な服を着て、
男性は、指輪を
「…髪飾りは、実家の印か、誰かの愛人の場合は、名前が
レナトスは、頭がクラクラした。
ニコロの話といい、この国の男女のあり方は、レナトスの理解をはるかに超えている。
この男性は、
「…ちなみに、足輪は婚約した者が」
「もう、いいですから!」
レナトスが、男性の話を
「お聞きしたいのですが、
男性は、不思議そうな顔をしてから、
「お前さん
「結婚とは、
「私は、おかげで、たくさんの人から、愛され、必要とされた」
「…それは、神殿にいた
「
ルキウスが、
男性は、思い出しように、
「…私は、神殿で、育ったのですよ」
次の更新予定
アマゾーン国探訪記 始祖鳥 @shisotyou
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