第8話 謎



『最後に一つ、贈り物を』


前任者の声が響く中、新たなウィンドウが開いた。そこには一通のメッセージが。


『親愛なる後任者へ

突然の着任、さぞ驚かれたことでしょう。

あなたがここに至った経緯は、実は私にも分かりません。

ですが、あなたがシステムを理解し、このダンジョンの真の姿を見抜く力を持っていることは確信しました。


このダンジョンには、まだ誰も知らない深い謎が眠っています。

なぜ私たちはここにいるのか。

このシステムの本当の目的とは何か。

そして、この世界の真実とは。


その謎を解く鍵は、あなたの中にあります。


私からの最後の宿題は、これで終わりです。

これからは、あなたの物語の始まりです。


追伸:アリアを大切に。彼女は、このシステムの心です』


メッセージが消えると同時に、ダンジョン全体が穏やかな光に包まれた。システムが完全に安定化する音が、心地よい波のように響いてくる。


「ダンジョンマスター様!」アリアが嬉しそうに報告する。「全フロアのシステムが正常値に戻りました。冒険者の皆さんも無事です」


遠くから歓声が聞こえてくる。冒険者たちの安堵の声が、デジタルの海を越えて届く。


「アリア」振り返ると、彼女は少し驚いた表情を浮かべた。「私にはまだ分からないことだらけです。このダンジョンのこと、システムのこと、そして...私がなぜここにいるのかということも」


「はい」彼女は優しく微笑んだ。「でも、もう一人じゃありません」


その言葉に、不思議な安心感が広がる。見上げると、無数のデータが星のように輝いている。この世界は、まだまだ謎に満ちている。


「よし」深く息を吸い込む。「まずは目の前のバグを片付けていこう。私たちのダンジョンを、最高の冒険の場所にするために」


アリアが嬉しそうに頷く。「はい、新ダンジョンマスター様!」


これは、プログラマーが異世界で紡ぐ、デバッグとファンタジーの物語。


そして、それはまだ始まったばかり。

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『システム管理者の異世界攻略』 ~デバッグスキルで最強のダンジョンマスターに転生しました~ ソコニ @mi33x

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