第4話『ミイラちゃんにお願いしたい』

「ぎゃぁぁ!」

「ひぇええええええっ!」

 何度も何度も、小規模しょうきぼの爆発が起こった。逃げまどう力すらない干乾ひからびた男たちはその爆風ばくふうに巻き込まれ、悲鳴を上げながら吹き飛んだ。

 建物の中は地獄絵図じごくえずであった。


「……ひゃっひゃっひゃっ!」

 そんな状況を楽しむように全身が毛むくじゃらで鼻が上を向いたオークが愉快ゆかいそうに笑っていた。どうやら彼が、この騒動そうどう元凶げんきょうのようである。

 重たい鉄のかたまりでできた棍棒こんぼうをオークは軽々と持ち上げた。

「おらよぉっ!」

 オークが、手にした棍棒を地面に振り下ろす。すると、付加ふか的に爆発が起こった。

——すさまじい破壊力はかいりょくだった。元々のオークのパワーもあいまって、それなりに強度きょうどのあるはずのかべ天井てんじょうくだけてっていた。


「……やめてくれぇ……」

「し、死ぬぅ……」

 干乾びた男たちはうなった。

 確実に息の根を止めようとするおそろしいモンスターを目の前に、男たちは恐怖したものだ。

 生命いのち灯火ともしび徐々じょじょに消えていったものである。


——どうせ殺されるならば、まだミイラちゃんの方が良い。ミイラちゃん──。

 男たちの脳裏のうりに、あられもない卑猥ひわいなミイラちゃんの姿が浮かぶ。

 人間の男たちはゆっくりと目を閉じた。


 そして、そこに──。


「いい加減にしなさいよ!」

 いさましく、現れたのはミイラちゃんであった。

──干乾びた男たちはカッと、目を見開いた。

「おおぉっ!」

 肌のお手入れ中であったらしいミイラちゃんは、いつもより包帯の巻き具合ぐあいゆるかった。そのせいで普段は隠れているはずのむね谷間たにまわきこしのくびれなどがあらわになっていた。

 寝そべっていた男たちは立ち上がり、ベストアングルをそのまなこにおさめようとひかかがやかせた。

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