第2話 聖女が監視対象にする男



【ギルドでの騒動】


隼人とエルフィーは、最寄りの冒険者ギルドにやってきた。ギルド内はにぎやかで、荒くれ者や冒険者たちがクエストの話をしている。隼人は堂々と受付嬢に声をかけた。


「登録だ。俺がこのギルドの最強の冒険者になる男だ!」


受付嬢はポカンとした表情で返す。


「え、ええと……登録料が必要ですが。」


「金ならある――と、言いたいところだが、ないな。」


「ないのかよ!」


後ろから割って入ったのは、純白の修道服を着た美しい女性、セシリアだった。彼女は冷たい目で隼人を見つめ、静かに言った。


「あなた、このギルドの規律を乱す可能性があります。……いえ、それどころか世界の平和さえも乱しそうです。」


隼人は満面の笑みで答える。


「その通りだ。俺は世界の中心になる男だからな!」


セシリアはため息をつきながら剣を抜き、彼に向けた。


「ならば、監視対象として徹底的に監視します。」


「よし、俺の監視役にお前を任命する!」


「……私があなたを監視するんです!」


【初めてのクエスト】


三人は初めてのクエストとして、近くの森で小型魔物を倒す任務を受ける。しかし、隼人は戦闘の経験がなく、慌てるエルフィーとセシリアを見ながら堂々と宣言する。


「任せろ、俺がなんとかする!」


「具体的にどうするんですか!?」


「……まあ、考えてないけど!」


エルフィーとセシリアは頭を抱えるが、隼人の「自信だけはある」行動により、なんだかんだで魔物を倒すことに成功する。


「見たか!俺の計画通りだ!」


「計画なんかありませんでしたよね!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る