8 仮面の戦士の噂、雷撃のざまぁ

闘技場での戦いが続く中、俺の名――仮面の戦士という異名が徐々に広まっていった。


町の酒場では、賭け試合を楽しむ観客や戦士たちが俺の話題を口にしていた。


「仮面の戦士、また勝ったらしいぞ。無敗だとか。」


「無敗じゃない。最初の方で一度死んでる。でも、そこからの逆襲は見事だ。」


「何者なんだろうな、あいつ。」


そんな話が酒場や市場で飛び交うたびに、俺の耳にその噂が届く。

だが、俺は興味を持たないふりをしていた。


控室で神威が念話を送ってくる。

「噂が大きくなるのは好ましくないぞ。目立つのが嫌だと言っていた割には、この状況を楽しんでいるのではないか?」


「楽しんでなんかいない。ただ、戦いができればそれでいい。」


「気をつけろ。ギルドにいた連中がこの噂を聞きつけるのも時間の問題だ。」



神威の言葉は正しかった。


数日後、俺が闘技場で試合を終えた後、控室で思わぬ再会が待っていた。


「久しぶりだな、修羅。」

低い声が響く。

振り返ると、そこに立っていたのはかつてギルドで一緒だった仲間の一人だった。


「まさか、仮面の戦士がお前だとはな。使ってる刀で分かったぜ…」


俺は黙ったまま奴を見つめる。



「ギルドの連中は今頃どうしている?」

「相変わらずさ。だが、あの幹部どもはお前がいなくなって随分と好き勝手やっている。」


俺はため息をつき、そいつに一歩近づいた。

「俺に用があるなら、はっきり言え。」


「用というほどじゃない。ただ…あのギルド、もう長くは保たない気がする。特に幹部どもが腐り切っているからな。」


「知っている。だが、俺は興味がない。」

奴は俺の目をじっと見つめた後、小さく笑った。


「そうか。」

その言葉を残して奴は去っていった。


「どうする?」


「放っておく。今はな。」

俺は控室の椅子に座り、柄に手を置いた。


次の闘いが近づいている。


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追放の時、俺に炎の魔法を放った大馬鹿野郎のディグが相手だ。


目の前にいるディグの手から

無数の魔法陣が蠢いている


紫電が弧を描き

次の瞬間

俺を狙って雷撃が解き放たれた



瞬間、脳内に神威の声が鋭く響く。

「避けろ!」


砂煙とともに俺は地を蹴った。


だが、奴の攻撃は予想以上に速い。

バフも色々とかけてる。


雷撃が俺の肩口をかすめた瞬間、強烈な痛みと痺れが襲う。

「…っ!」

一瞬だけ膝が落ちかける。

だが、ここで倒れるわけにはいかない。


視界の端でディグがにやりと笑ったのが見えた。


黒炎の霊刃から、俺の正体を知って分かった上で挑んできている可能性も考えたが…

すぐに、別にどうでもいいかという結論に至った。

こんな雑魚の相手は今だけだ。


俺は黒炎の霊刃を握り直した。


その刃が、俺の内なる怒りに応えるように熱を帯びる。

胸の奥で黒炎が渦巻き、全身の血流を駆け巡った。


「また来るぞ!」

神威の警告を聞いた次の瞬間、再び雷が俺を貫いた。


だが今度は違う。


痺れが体を焼こうとも、俺の意志は揺らがない。


刃を天高く掲げた瞬間

空がざわめいた

雲が割れ

雷鳴が轟く


黒炎の刃が

天を突き刺すように輝き

俺の全身を

稲妻が駆け抜け

魔力と混ざり合い

俺は稲妻を纏う


雷雲の制御も

可能となった



神威が少し呆れた声で言う。

「本気でやる気か」


「追放の時も今もだろ、コイツだけはさすがにイラつく!」



大気が揺れる。


闘技場の

上空に巻き起こった雷雲が

一気に膨れ上がった


雷雲の制御


光の柱のような稲妻が

何本も走り

ディグの動きを誘導する

観客の悲鳴が

耳に飛び込む


「 喰 ら え !」


俺の刃を伝って

雷鳴そのものが

ディグに襲いかかる


閃光が

闘技場全体を

焼き付ける


雷の奔流は

怒り狂う蛇のように

ディグを飲み込み

砂をえぐり

大地を揺るがした


轟音が収まった時、辺りは静寂に包まれた。



俺の勝ちだ!

ざまぁwwwww


砂塵の向こうで倒れる影を確認し、神威がぼそりと呟いた。

「ディグというの死んだな…見事だが…次は少し手加減をしてはどうだ?」


全身が

痺れるような快感に

包まれながら

霊刃を腰に収めた


闘い…勝つ!

本能的な達成感――これが俺の生きる理由なのだと、脳が全身に信号を送っているようだった。



心臓が

早鐘のように鳴り

血液が熱く沸騰する感覚に

酔いしれる


ざまぁwwwwwwww




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