またまたガチの仕事の話!

崔 梨遙(再)

1話完結:1100字

 新人研修には、必ずディーべートの時間を確保した。だが、僕達は1つのお題について賛成(YES)派と反対(NO)派にわけることはしなかった。それだと、討論が口論になりやすいと判断したのと、もっと1歩踏み込んだことをやりたかったからだ。勿論、正解の無いお題の用意はする。



 まず、物語形式のお題があった。5人の登場人物が出て来る物語を読んでもらい、個人的な感想として、その5人の好感度順位をつけてもらう。それから、チームの意見として1位から5位を決めるのだ。この方が、殺伐とした口論にはなりにくいと思っていた。1位から5位までをまとめる。これが結構、おもしろい。みんな、楽しみながらディベートをやってもらえたようだった。


 次に、10職種の人間がいて、3人だけ脱出カプセルに乗せられる。その3人(3職種)を選ぶというお題もやった。個人で3人(3職種)を選び、グループで1つの答えとしてまとめるのだ。


 そもそも、ディベートとは、お題について異なる立場で議論することなのだから、この、5人の順位をつけることがお題でも、3人を選ぶお題でもいいのだ。


 ここで、判断力、状況分析力、相手からの反論に対する対応力、相手に反論する対応力が求められる。これも一般的なディベートと同じだ。


 しかし、誰が進行役になるのか? など、離れて見ているとおもしろい。意外な人物が進行役にまわったり、ソフトな感じの人物が意外に頑固だったり、頑固そうな? タイプと思っていた人物が柔軟だったりする。僕達は、離れた所で新人を観察する。しかも少なくても4~5人、多いときは7~8人でディベートをするのだから、みんなで1つの結論にまとめるのには当然時間がかかる。時間がかかってもいいのだ。みんなで集中して取り組めば。間に合わないときには、間に合わないと判断した時点で報告に来ないと減点対象? になるけれど(笑)



 これは、お客様からの評判も良かった。だが、お題が良かったわけでもない。僕達が担当した新人達がいいメンバーだったのだ。ディベートはおもしろい。配属されてからのディベートは楽しくないことも多いだろう。だから、新人研修の時くらい、メンバーにはディベートを楽しんでもらいたいと思っていた。ディベートは楽しいものだと思ってほしかったのだ。



 ちなみに、僕はディベートを『説得』する、されるというものではなく、『納得』する、させるものだと思っています。説いて得するのが説得、納めて得をするのが納得。心から納得させる、心から納得する、そういうものだと思っています。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

またまたガチの仕事の話! 崔 梨遙(再) @sairiyousai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画