クソ野郎に殺された、ただそれだけのはずだろう?

早乙女創作局

第1話 目覚めが時

森深くに16mほどの大きな機械が横たわる。

動く気配はないが電装系は生きているようで目のようなセンサーが光り輝いている。

青年はその中にいた。


(最後まであの"クソ野郎"には届かなかった)


青年は赤い警報等が照らし、何もついてないモニターを殴ると操縦桿を操作しはじめた。


(まずは外に出るっきゃねぇな。)


プシューと煙が出た後に天井のコックピットハッチがゆっくりと開く。


青年はよじ登り周囲を確認すると驚愕した。


「どこだ、ここはぁ?」


死地である海底基地スピリッツにはこのような森は存在しえない。


深海の日の光さえ届かない場所で木が生えるはずはないのだ。


青年にはわからなかった。


(調べる必要があるか…)


コックピットの中に戻ると千切れた配線を繋ぎ始める。


この機体ヘッドクラウンは動く気配はない。

なぜなら右手はパージしスピリッツに残らされていた試作兵器電磁加速投射機を接続したからだ。左足はあの"クソ野郎"にくれてやったからだ。

五体満足と言えない機体に興味はない。

モニターだけ回復させて座標情報をゲットしたら廃棄する。


作業は教本通りとはいかない汚い繋ぎ方だがモニターには映像が映し出された。


しかしモニターの映像は海底基地の映像で静止している。


(クソ、カメラ系もイカれやがったか。これじゃあ座標情報も当てにならない。)


最低限の装備を持った青年はコックピットハッチを再びよじ登り今度はヘッドクラウンから飛び降りた。


ザッと足底に草と土の感触がある。

久しぶりの感覚だ。


行く当てはない人の手がかりもないため青年は適当な方向に歩き始める。


しばらくすると街道にぶち当たった。

つまりは近くに知的生命体が存在するってわけだ。

人間か、人間じゃないかは問わない。

まずは安全そうな場所を見つけるのが先だ。


街道を辿って歩くと村が見えてきた。

だだっ広い平原にポツンと一つだけ、しかし柵などで申し訳程度にかかっており煙が上がっている。


えらい古い形式の建物ばかりだがないよりはマシ、問題があってもこの携行用のサブマシンガンとナイフでどうにかなる。


青年はまた歩みを始めた。



"村"


カルド共和国のはるか東方に位置するクラウド村は危険が現在進行形で蝕んでいた。


村民は中央の広場に集められており武装した人間に見張られている。


「高い金出したのに結局役に立たなかったな、だから俺は反対したんだ。」


「仕方ないでしょ多数決なんだから。」


と縛られた村民の中には別のことで不満があるものがいた。


一つの村の中では目立つ大きな家の中に視点を移すと村民とは別に椅子に縛られ水をかけられている少女がいた。


「気をつけろ、"スキル"持ちだ。縛っているとは言え、いつ俺たちを殺すかわからないぞ。」


「"スキル"はそんな大層なものではないぞ!」


と少女は盗賊に言い返す


「うるせぇ、冒険者!」


と再び水をかけられる。


「ゲホッゲホッ!そんなことしても私以外のスキル持ちならこんな状況切り抜けられるよ!」


「知ってるんだ、俺。スキルは平常心を保たないと使えないんだろ?」


「それは私みたいな特殊な人だけよ。間違った情報ね。」


「へっそうかい!」


男は仲間が持ってきたバケツを持ち少女を横へ倒し水をゆっくりかけ始める。


「水を飲ませてやるよ」


ダンっ!と裏口が開かれると男と部屋にいた仲間は倒れた。


「なに!?」


「非戦闘員への拷問か…懐かしいぜ。」


青年は速やかに部屋を鎮圧した。

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